モデルナのブースター、オミクロン変異株に対する抗体を37倍増加

（ブルームバーグ）：モデルナの新型コロナウイルスワクチンは３回目の投与によりオミクロン変異株に対する抗体レベルが上昇したと、同社が発表した。

20日の発表によると、認可された量である50マイクログラムのブースター接種によって中和抗体が37倍増加した。100マイクログラムの場合、抗体レベルは２回接種の83倍に増加したという。

データはそれぞれの量のブースター接種を受けた20人の血清に基づき接種後29日目に測定したものだという。同社はオミクロン株に特化したワクチンの開発も進めており、来年初めに臨床試験開始を計画している。

原題：

Moderna Booster Increases Antibodies 37-Fold Against Omicron（抜粋）

注目のコメント

山田悠史
マウントサイナイ大学アシスタントプロフェッサー
・2021年12月21日
モデルナから、ブースター接種のオミクロンに対する有効性を示唆する中和抗体のデータがプレスリリースとして報告されました。論文として公表されたわけではなく、第三者の評価を受けていないことには注意が必要です。

この中で、現状ブースターとして使用されている50μgという投与量では抗体量が接種前の37倍に、1回目・2回目接種で使用されていた100μgという投与量をブースターでも用いた場合には抗体が接種前の83倍に増加したと報告しています。

中和抗体の量は、「感染予防」効果と関連する可能性が高いと考えられていることから、モデルナのブースターにもそのような感染予防の効果があると期待をさせてくれるデータです。

ただし、実社会での効果を示したものではなく、あくまで研究室でのデータとなりますので、実際にどの程度の効果を発揮してくれるのかというのは今後の観察で見えてくることになります。

なお、ファイザーも先日ブースター接種によってオミクロンに対する中和抗体が接種後25倍に増加したとするプレスリリースを発表しています。

今のところは、オミクロンへの備えとしてブースター接種の重要性を示唆するデータが多いですが、続報も待ちたいところです。

参考（モデルナ・プレスリリース）：https://investors.modernatx.com/news/news-details/2021/Moderna-Announces-Preliminary-Booster-Data-and-Updates-Strategy-to-Address-Omicron-Variant/default.aspx
高橋義仁
専修大学商学部教授
・2021年12月21日
モデルナ社製のワクチンの接種ブースター接種（3回目接種）を受けた20人の血清に基づき接種後29日目に測定したとのことです。速報的・予備的な報告だと思います。試験は中和抗体の変化のみが報告されています。

「いつ3回目のブースターを接種したか」については記載されていませんが、常識的には米国での認可基準通り「2回目接種6カ月後」だと推測します。オミクロン株に対して37倍という数字は「3回目接種前」を指すと思われ、それと比べた数字だと思います。

過去にオミクロン株に対するベース（2回接種後の値）の中和抗体価が従来株の40の1というファイザー社ワクチンの速報（NHK 2021年12月8日）もありました。実効果を予測するには「37倍」のベース値（絶対値）のデータが必要ですが、数字はモデルナ社企業報告（英語版 2021年12月20日）にあります。（以下(3)参照）

リリース中の重要事項は以下の通り。

(1) 承認された追加免疫用量（50µg=承認された1,2回目接種量の半量、承認された3回目接種量と同量）およびより高い用量（100µg）での承認されたワクチン（mRNA-1273）の評価は、約300〜600人の参加者を対象とした進行中の第2/3相試験で評価されている。

(2) 当プレスリリースのデータには、50 µgおよび100 µgの用量レベルのmRNA-1273、50 µgおよび100 µgの用量レベルの20人の追加免疫レシピエントからの血清が含まれている。

(3) オミクロン株に対する中和抗体は、中和力価アッセイ法（PsVNT）で評価。すべてのグループは、追加免疫前の中和抗体レベルが低かったが、ブースト後29日目に、mRNA-1273の承認された50 µgブースターは、オミクロンに対する中和幾何平均力価（GMT）を850に増加、ブースト前の約37倍。ブースター後29日目に、mRNA-1273の100 µg用量ブースターは、中和GMTを2228に増加、ブースト前の約83倍。

(4) mRNA-1273の100 µgブースター用量（n=305）の第2/3相試験の安全性と耐容性のデータを発表。100 µgの追加免疫用量のmRNA-1273は、ブースターを投与されてから7日後の全身性および局所性の有害事象の頻度と性質は一般に2回投与の臨床研究の後に見られたものと同等。
horio hitoshi
役立つ補足記事をコメントします
・2021年12月21日
タイトルは認可されている倍の量を3回目で接種した場合であることに注意してください。以下のグラフ付でツイートが参考になります。

mRNA-1273（モデルナ）は×3回で19倍
BNT162b（ファイザー/バイオンテック）は×3回で27倍
https://twitter.com/BalazsLab/status/1470727043948056579?s=20

オミクロン株は3回目を打つことで撃退できる。

オミクロンに関しての予想は12月の初めに書かれた以下の記事がほぼドンピシャで当たってます。
【米国株】新型コロナ｢オミクロン株｣で株価急落も、“絶好の買い場”が到来!? 南ア変異株の影響で世界同時株安となったが、暴落した株価が見直される可能性も｜ザイ・オンライン https://diamond.jp/articles/-/288917 #株 #投資 #米国株 @zaionlineより