モデルナを甘く見る人が知らない驚くべき正体
コメント
選択しているユーザー
せっかくの田中先生の良質な読み物が相変わらずクリックベイト命な東洋経済によりこねくり回されヘンテコな日本語のタイトルになっている。
英語メディアではこういう日本で散見される行き過ぎたクリックベイトは滅多に見ない。慎むべき。大袈裟ではなく民度を下げる事に加担している。最近は私はこれがあるので日本のメディアへの寄稿は極力控えています。
注目のコメント
初期型の不活化ワクチンや生ワクチンといった伝統的製法(例えばウイルスを有精卵に注入して培養するような)のワクチンを除き、mRNAワクチンだけでなく、ワクチンの製法からみればDNAワクチン、組換えタンパクワクチン、ウイルスベクターワクチンなど近年技術が進化しているワクチンはすべてDXに区分されます(これらのワクチンは遺伝子を解析してから製造するものです)。それ以前にヒトの遺伝を受け継ぐ遺伝子自体は太古からDXです。
新型コロナワクチン開発前からmRNAワクチンの基本技術はモデルナ社やビオンテック社が有し世界の最先端を走っていました。ただ、緊急に実用化が必要なワクチンのニーズがなかったことと、開発に際し長期の試験が必要で実践投入には至っていませんでした。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により(モデルナ社やビオンテック社にとれば)機会に恵まれました。
デジタル性の高い遺伝子を扱ってワクチンができるのですが、ワクチンで実際に重要な点は依然として「アナログ」部分だと思います。この技術差が各社の開発の成否を分けています。
基本的に新型コロナウイルスの mRNA ワクチンは次の3つの成分から構成されています。
(1) mRNA 本体
(2) mRNA を包む部分:壊れやすいRNAを細胞内まで保護して届ける役目
(3) 塩類、糖類、緩衝剤:薬剤の安定性や保存性を高める役目
同じウイルス(新型コロナウイルス)を標的にしているワクチンですが、アナログ的性質を有する(2)と(3)が製品化の鍵を握ります。
デジタル的な(1)は各社同じですが、アナログ的な(2)と(3)は各社異なり、それぞれに企業秘密です。この差が有効率と副反応発現率に影響しています。(2)は非常に壊れやすいとされるmRNAを保護して体内に届ける役目を担っています。特に(2)が異なれば、ワクチンとしての有効性や安全性に大きな違い(性能差)が現れます。また、これらが異なればそれぞれに臨床試験が必要なものとして扱われます。
いったん開発出来れば、ベースの(1)を変えれば理論上はmRNAや遺伝子を組み込むタイプのワクチンはすべて迅速に「新型対応」できることになります。その際の臨床試験はほとんど求められない方針が取られると思いますが、理由はmRNAワクチンの性能がアナログな(2)と(3)により決まるからです。モデルナは、徹底したDXによって、年単位だったワクチン開発のスピードを飛躍的に高めた新興製薬企業。その本質は、既存のビジネスを破壊・刷新するデジタル製薬企業であり、開発したmRNAワクチンは、ソフトウエア的、デジタル的な性格をもっています。
モデルナのmRNAプラットフォーム戦略とはどのようなものであるのか?
製薬業界を一変させうるモデルナの潜在力とは何か?
モデルナのコーポレートサイトで公開されている膨大なデータや資料への分析、その他徹底的なリサーチにより、モデルナの競争戦略等を詳しく分析・解説しました。
お時間許す際に実際の記事もお読みいただければ幸いです。