2021/11/27

【今村久美】災害時に必要なのは「物資の支援」だけじゃない

英日翻訳者・Webライター
昨年のコロナ禍の一斉休校で、家庭学習の違いから来る学力格差が社会問題として取り上げられたことは記憶に新しい。

しかし、育った環境によって学びの機会やその後のキャリアに格差が生まれるという課題に、20年以上前から取り組んでいる人がいる。認定NPO法人カタリバ創設者・今村久美氏だ。

今やビジネスでも重視される「ナナメの関係」に早くから着目し、高校生に対して大学生メンターと交流する場を開くことで「きっかけ格差」をなくすことに尽力してきた。都内からスタートした取り組みは、今や全国に広がっている。

今村氏が考える、これからの若者に必要な「きっかけのあり方」とは何か。
INDEX
  • 災害支援で重要な「場」の再構築
  • 短期で終わらない、長期的な支援も
  • 一斉休校で危機に陥った子どもたち

災害支援で重要な「場」の再構築

未曾有の災害において、特に発災直後は、ライフラインが遮断され、情報が錯綜しています。大人たちは、泥をかき出したり瓦礫を撤去するなど目の前のことに必死で、子どもたちの相手をする余裕などない、というのが実情です。
だからこそ、第三者がそこに1秒でも早く駆けつけることで、子どもたちへの支援をスタートできること。
それが、発災直後の子ども支援において最も大事なことであると考えています。
私たちは、被災地支援でのこうした経験を通して「災害直後から子どもたちに寄り添いサポートを行いたい」と思い、平時から自治体・企業とアライアンスを組むことで、セクターを越えたスムーズな連携を行えるようにする、災害時子ども支援「sonaeru」プロジェクトを設立しました。
今年7月3日に静岡県熱海市伊豆山地区で土石流が発生した際にも、いち早く被災地の子どものための居場所を開設し、サポートを行っています。
被災した際、物資は足りることがほとんどなのですが、人とのつながりや場はあっという間に消え去ってしまいます。これを行政の力だけで再構築することは難しい。
そのためカタリバでは、地域の方たちとしっかり話し合いながら、そこにある資源を活用し、子どもたちのコミュニティを再生する取り組みを続けています。