(ブルームバーグ): 米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が50億ドル(約5700億円)相当の同社株を売却した。同氏は6日に持ち分の10%を売却する案を示し、ツイッター上の投票で同案の賛否を問うていた。

マスク氏はテスラ株一部売却を、2.4兆円相当-SNS投票で過半数

10日の当局への複数回の届け出によると、マスク氏は今週これまでに450万株余りのテスラ株を売った。同氏による株式売却は約5年ぶり。

マスク氏は8日に行使価格1株当たり6.24ドルでストックオプションを行使した後、同日中に93万4000株を約11億ドルで売却した。売却の「唯一の目的はストックオプション行使に関連する」納税義務を果たすことだったという。その後の追加開示によると、9、10両日に残りの分を売った。

企業幹部が自社株を売却しようとする場合、インサイダー取引を疑われないよう、事前に取引プランを取り決めておくことが多い。届け出によると、マスク氏も9月中旬に取引プランを用意しており、8日の売却分はそれに基づいて行われた。ただ、9、10両日の分に関する届け出は、これらも事前に予定されていたものだったかどうか明示していない。

マスク氏が今回の売却の一部あるいは全てを実行する決定と、週末のツイッター投票の結果に何らかの関係があったのかどうか、開示された書類からは分からない。持ち分10%を売却するため今後も売り続けるのかどうかも不明だ。10%に達するには約1700万株売却する必要があり、行使可能なオプションも含めるとさらに多くなる。

2012年にマスク氏に付与されたストックオプションの権利行使期間は来年8月に満了予定のため、それまでに行使する必要があった。マスク氏は今年に入って、近くストックオプションを行使する公算が大きいと述べていた。

今回のオプション行使とそれに関連する株式売却は、ツイッター投票結果とは関係なく実施されていた可能性もある。事前にアレンジされたプランの下で行われたためだ。もっとも、こうしたプランの条件は開示が義務付けられておらず、企業幹部の自由裁量でいつでも中止あるいは変更できる。

ツイッター投票が大々的に報じられたことからテスラ株は8、9両日に急落。マスク氏の保有株の価値は500億ドル吹き飛んだ。10日は反発し、4.3%高の1067.95ドルで終了。最初の分の保有株売却が開示された後、時間外取引で株価は一時2.7%上げたが、11日の通常取引は0.4%安で終了した。

マスク氏が前回株式を売却したのは16年。オプション行使に伴う約5億9000万ドルの所得税を納めるため、新たに取得した株式の一部を手放した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、マスク氏の資産は約3000億ドルで世界首位。

マスク氏の資産、5.6兆円目減り-テスラ株急落で記録的な減少

原題:Musk Offloads $5 Billion of Tesla Stock as Tax Debate Rages (4)、Elon Musk Sells $5 Billion of Tesla Stock After Twitter Poll (4)、Elon Musk Sells $1.1 Billion of Tesla Stock To Meet Taxes (3)(抜粋)

(11日の株価終値を8段落目に追加して更新します)

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