【要約版】SNSと分断を知る、世界の「研究4選」
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「分断」といってもいくつもの種類があります。
社会が2極化するのか、それともいくつかの極に分かれるのか、でも相当違う話です。
もともと多民族や多宗教社会で、その間の分断・対立が深まる場合と、米国の共和党、民主党の支持者の対立が深まるのでは、かなり意味が違います。
つまり、国によっていろいろ違うので、あまり単純な結論を出すべきではない、ということはまずいえます。
「分断」が短期間で急速に起きるのか、何年もかけて起きるのか、でも、全然違います。
短期間で急速に起きた場合、特定の民族や宗教を対象にした迫害が勃発して、防ぐ間もなく広がっていったりします。
何年もかかる場合は、過激分子を取り締まるなどして、衝突を抑えることもできます。
急速な分断が起きる時は、まず必ずメディアを利用する宗教勢力や政治勢力がいます。政府が率先してメディアを使って分断を拡大する場合もあります。
どうしてもSNSは道具ですから、使う人間次第で、結果は全く異なります。悪いのは人間だから、道具には罪が無い、といった話として済むかというとそうでもなく、道具によっては使える人間を制限するべきだ、という主張もありえます。銃器や毒物、爆薬がそうであるように、です。
分断とメディアの関係は、社会学、特にコミュニケーション論で、第2次世界大戦あたりから研究が積み重ねられてきました。ナチスと新聞やラジオの関係、みたいな研究もずいぶんあります。
20世紀にされてきた研究は、マスメディアによる世論形成の研究が主で、SNSについての研究にも応用はできています。ただ、そのまま応用できるというわけでもなくて、マスメディアとSNSの違いは、いうまでもなくSNSの方が発信が多くて、政府によるコントロールなどができにくい、ということです。
SNSは、危険なのかどうか検討されないまま市場に放たれてしまった道具ですが、中国やロシアの政府は彼らなりの価値で「危険」と見なしました。欧米諸国は、新聞や雑誌は、19世紀は危険視されていたのが、「表現の自由」として一般に開放されていった歴史があるので、SNSについても管理するのには抵抗があるでしょう。
しかし、このままいくと、中国によるSNS管理は先進的だった、という事後評価になりかねません。アメリカの分断は、SNSのせいなのか?
Facebookのフィードが「偏る」のは誰のせいなのか?
SNSでどういう行動を取ると、エコーチェンバーに陥るのか?
Twitterでは、自民党と立憲民主党、どちらのツイートが増幅されるのか? 今回お届けするのは、SNSと分断にまつわる研究です。特集第一回、鈴木健さんのインタビューでもあったように、学問の世界ではこのトピックの研究が進んでいます。中にはFacebookやTwitterが自ら行っているものも。
思わず誰かに内容をシェアしたくなる研究ばかりで、私自身とても勉強になりました。個人的には、Facebook幹部の「多様な意見を見せたからといって、溝が埋まるわけではない」という指摘にもはっとするところがあります。分断(と同調)の問題は根深い。スマートニュースの鈴木氏による議会の分断→メディアの分断→SNSの分断の流れではないけれど、自分の仮説は、社会に分断の種はすでにあって、SNSは分断を契機にした憎悪を増幅させうる、というもの。
たとえばネットでのいじめ問題。日本でもリアリティショーの出演者に対する誹謗中傷でも話題になりましたが、ネットでいじめに加担する人はリアルでいじめにあっているケースも多いという意見が多かった。つまりリアル社会であるいじめによって生じた感情をネットやSNSが増幅させうる、ということ。なのでSNSだけで社会の分断や憎悪を語っても片手落ちである。
ちなみに、「バックファイヤ効果」という言葉は知りませんでした。自分の信念にそぐわない情報に出会うと、かえって自分の意見に固執するようになる現象。でも、だから異なる意見に触れなくてよいということではないと思います。
たとえば、バドワイザーの「価値観の違う他人と仲良くなれるか?」でも見られたように、意見が対立していても、「意見がある」ということは同じ領域に関心を持つということで、逆に深い接点を持ちうるということでもある。
https://www.youtube.com/watch?v=tdsFCgiVOdo
一朝一夕に解決しうる問題ではないですが、企業においてはGoogleのDeep Mind買収時にあったようなエシックスが、個人においてはメディアやアルゴリズムのリテラシーが、より求められるようになっていくと思います