(英文の訂正により本文7段落目の「代表」を「国際トレードディレクター」に訂正します。)

[ダブリン/ロンドン 8日 ロイター] - 欧州の自動車メーカーは、車の軽量化に利用するマグネシウムの不足について、現時点で生産計画に影響はないと主張しているが、部品メーカーや業界団体からは、世界のマグネシウムの85%を供給する中国で生産が近く回復しなければ、マグネシウムが大幅に不足する恐れがあるとの声が出ている。

通常、自動車メーカーは大量のマグネシウムを購入しないが、主要部品を供給する部品メーカーは、マグネシウムへの依存度が高い。

自動車大手のステランティスやBMWは、マグネシウムの供給が直ちに問題になることはないと指摘。他の自動車メーカーの関係者も、2022年序盤までに必要な分は確保していると話している。

ただ、フォルクスワーゲン(VW)の調達担当者は決算会見で、マグネシウムの不足が予想されると発言。「半導体を超える不足になるかどうかは、現時点で予想できない」と述べた。

業界関係者によると、中国のマグネシウム生産量は現在、通常のの50%前後。石炭価格の急騰や計画停電で、生産が減少・停止している。

中国は一部のマグネシウム生産者に生産再開を認めているが、不足を大幅に解消するには至っていない。マグネシウム価格は、最高値から下落しているものの、今年1月の水準の2倍以上で推移している。

欧州自動車工業会(ACEA)の国際トレードディレクター(訂正)はロイターに「今後2─3週間で影響が出始めるのではないかと強く懸念している」と発言。

ギアボックスやハンドルにマグネシウムを使っているドイツの自動車部品メーカー、ZFは、中国以外の新たな調達先を探しているが、中国の市場シェアが高いため、供給不足分をなかなか補えないとしている。

ドイツの金属業界団体WVメタルの広報担当者は「嵐の前の静けさだ」と述べた。