首相、100億ドル追加支援表明 COP26首脳級会合演説で
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2030年に13年比46%、50年実質ゼロという、日本としてはこれ以上頑張りようのない数字を既に出しているので、首相が行って何か演説するとすれば、途上国への資金支援を積み増しします、という以外にないわけです。
こうしたことは今回に限ったことではなく、以前は「鳩山イニシアティブ」などもありました。(鳩山さんの名前がついてますが、別に鳩山さんのお小遣いでやってくれるわけではありません)
先進国全体で毎年1000億ドルの資金支援に既にコミットしていますが、それに追加して、ということ。
その点でいうと気になるのは昨日、中国のレターが先進国から途上国への資金支援を求めるものだったこと。「さすがに中国はもう、支援する側ですよね???」というツッコミをちゃんとしなければならないこと。
そして、日本が拠出する資金について、我々の税金から出る分については「本当に削減に寄与したか」をきちんと検証できるかどうかが重要ですし、できれば日本の技術を使ってもらってCO2削減してもらいたい。
それにしても日本のリーダーらしい、まじめで実務的なスピーチでした。時間もちゃんと守る。
海外のリーダーは、ものすごくエモーショナルに地球の危機を訴えたり、次世代への責任を問う感動的なスピーチをされるのですが、「では、自分は何やるの?」は語っていないことも多いんですよね。ただ、COPは既に政治的なパフォーマンスの場になりつつあるので(政府間交渉をやっている方たちは真面目に交渉しているのですが、会場周辺の抗議活動などのイベントの方が注目されるようになっている)そういうエモーショナルな演説の方が受けますが。
国際交渉では、相手を褒めたらそれ以上引き出すことはできないので、「まだ足りない」「これじゃだめだ」と言われるのは当たり前。自分ができる最大限を提示したら、後はそれに向けて頑張るのみ。一足飛びに脱石炭に向かおうとする「規範」の欧州と、段階的なトランジション(移行)を重視する日本。タクソノミーなどサステナブルファイナンスを巡っても脱炭素の進め方で温度差がくっきり表れています。
で、岸田首相がスピーチでも触れた日本が推すアンモニア。火力発電を一気に廃止するのではなく、石炭と一緒に燃やして二酸化炭素排出量を抑えようとしているわけですが、要はアジアでまだまだ需要のある火力の延命策です。これだけ明確に脱石炭が推し進められている会議で、この路線が現地でどう受け止められたのでしょうか。
この路線はもたず、いずれ軌道修正を迫られるとみています。100年後に気温が4度上がったとして、日本人は何人死ぬのか?1人も死なないかもしれません。その意味で、気候変動は、日本の裏庭で起こっていることではない、と感じられている場合が多いでしょう。
複数の論点、複数の立場が意図的に混同されて議論されています。
・自動車市場をEV化して自国製造業を優位にしたい欧米
・エネルギー市場をロシアやサウディアラビアが牛耳っている構造を抜本的に変えたい欧米
・国土が水没してしまう南太平洋やインド洋の島国
それぞれが、別の動機で気候変動について主張しています。
気候変動の影響を最も確実に受けるのは南アジア、それと中東、アフリカのかなりの部分と予想されます。具体的には水不足と、農業生産の激減というかたちで大きな影響を引き起こす、というのがありそうなシナリオです。
気候変動の本当の問題は、おそらくそういう事態が中心なのですが、それを日本にとってどうとらえるか、でしょう。
米国の農業生産は影響を受けるかもしれませんが、気温が上がったことで直接死ぬ日本人や欧米人はかなり少ないでしょう。世界の経済のある部分、いくつかの地域では相当な人命に関わりそうです。
気候変動の影響最も受けやすい国はインド=HSBC調査
https://jp.reuters.com/article/climatechange-hsbc-idJPKBN1GW0UD