[シドニー 27日 ロイター] - 豪航空シンクタンクのセンター・フォー・アビエーション(CAPA)と豪環境戦略助言会社エンベスト・グローバルは27日公表のリポートで、一部の航空会社は向こう3─5年で温室効果ガスの削減ペースを加速できなければ破綻リスクにさらされると警告した。

航空業界が掲げる2050年の排出量実質ゼロ目標が、企業の出張に伴う排出量の短期的な削減目標に整合的ではないからだと説明した。

ブラックロックやバンガード・グループ、ステート・ストリートといった運用大手は公の場で気候変動への懸念を表明するようになっており、航空会社は物言う株主の圧力にさらされるリスクも高まっていると指摘した。

エンベストの幹部、デービッド・ウィルス氏は、顧客や政府、投資家からの圧力によって温室効果ガス排出実質ゼロへの取り組み加速が恐らく必要になるとみられ、これが航空会社へのプレッシャーになるのは確実だと分析。「航空会社が誤った対応を取れば、破綻状況に陥る可能性もある」と続けた。

HSBCホールディングスやチューリッヒ保険、ベイン・アンド・カンパニー、S&Pグローバルなど複数の企業は、出張に伴う排出量の最大70%を早期に削減する計画をすでに発表済みだ。

報告書によると、国際的な航空会社52社のうち、上位4分の1の企業は下位4分の1に比べ、2019年の旅客キロ当たりの排出量が平均で3割少なかった。

ウィズエアーやライアンエア―など、運航する機材が新しくて稼働率が高い格安航空会社(LCC)は排出量が最も低く、トルコのターキッシュエアラインズ、日本航空(JAL)、英ブリティッシュ・エアウェイズは排出量が最も多かった。

日本航空は、より燃料効率が高い航空機を導入しており、2030年までに排出量を2019年の水準から少なくとも10%減らす目標達成に向け、より持続可能な航空燃料の確保に努めていると説明している。

今回のリポートでは、2019年の利益に基づくと日本航空は炭素価格1トン当たり160ドル超で収支が合うとしている。