[イスタンブール 21日 ロイター] - トルコ中央銀行は21日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレートを18.00%から16.00%に2.00%ポイント引き下げた。トルコではインフレ高進が続いているものの、エルドアン大統領は景気刺激策を実施するよう求めており、予想よりも大幅な利下げを受けリラは過去最安値を更新した。

ロイター調査では0.50%─1.00%ポイントの利下げにとどまると予想されていた。

トルコ中銀は先月の政策決定会合でも主要政策金利を1.00%ポイント引き下げた。エルドアン大統領の金融政策への強い影響力を反映しており、追加利下げの可能性が高まっているとの見方が出ていた。

アナリストらは、トルコの実質利回りが大幅にマイナスになっていることから、今回の利下げは無謀であり、各国中銀がインフレ高進を抑制するために金融引き締めに動いている世界的な流れに逆行するものだと指摘。

コメルツ銀行のアナリスト、ウルリッヒ・ロイヒトマン氏は「今回の動きはエルドアン大統領の見解と一致しているが、大統領の金融政策は単純に間違っており、リラ安によって実体経済が深刻な打撃を受けるリスクがある」と述べた。

リラは一時3%安の1ドル=9.501リラとなったが、その後下げ幅を一部縮小した。年初来では22%安で、トルコ中銀がハト派的なシグナルを出し始めた9月初旬以降の下げがその大半を占めている。

エルドアン大統領は先週14日、中央銀行金融政策委員会(MPC)の3委員を解任し、新たに2委員を任命した。関係筋によると解任された3委員のうち2委員は最近、MPCの決定事項の一部に反対していた。

政策決定会合後、MPCは「供給面の一過性の要因により、年末までの政策金利の引き下げ余地は限られている」とした。

ただ、イン・タッチ・キャピタル・マーケッツのシニア外為アナリスト、ピオトル・マティス氏は「このフォワードガイダンスはリラを安定させ、市場のセンチメントを改善するのに十分ではないかもしれない」とした。

利下げを受け、トルコのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は450ベーシスポイントと数カ月ぶりの高水準を付けた。

指標10年債利回りは利下げ発表前の19.98%から20.41%に急上昇。中銀は近く利上げに転じる必要があるとの見方を反映した。

マティス氏は、先月の利下げと合わせた3.00%ポイントの利下げとMPCメンバーの刷新を受け「海外投資家の中でトルコの評判が一段と悪化した」と述べた。