〝ブランドジャーナリズム〟はジャーナリズムの脅威か?
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今後、企業発のブランドジャーナリズムが拡大するのは必然。企業に所属するジャーナリストも増えるはず。メディア企業とメディアに所属するジャーナリストは、自分たちだけの強みをとがらせないと、淘汰されてしまいます。
FTの元記事を読むと、「従来のメディアでジャーナリストをやっていた人が、企業に雇われてPR業務をやるようになった結果、企業のPRの質が高くなってきた。」という現象を論じている。このこと自体は、資本主義的には別におかしなことではなくて、業界ががんばって進化を遂げてきたらこうなったというだけの話なんだと思う。
ただ、常に受信者側が心にとめてなければいけないのは、そういった「コーポレート・オウンド・メディア」っていうのは、あくまで企業のPRにすぎないということだ。
危険なのは、本記事でもあるように、発信者側が『最近の読者は、それが読むべき記事なら、発信元がどこかはあまり気にしない。』という認識でいることであり、受信者側がそれを無条件で受け入れてしまうことだ。私は企業側の元ジャーナリストがそのような思想で発信をすることには反対だ。その意味で記事中のトーマス・ケルナー氏には全く賛同できないし、そんな姿勢では、彼はいつかは痛い目に逢うと思う。
NPも今後、ネイティブアドや、広告を取り入れていくということではあるが、「世界一の経済メディアを目指す」ことを標ぼうする以上、メディアの中立性・独立性を死守し、スポンサーの耳が痛いこともバシバシ発信できる態勢を常に確保しておいてほしいと思うし、上記のような企業のPRの進化に負けない本当のジャーナリズムを発揮してほしいと思う。企業発のメディア運営を「ブランドジャーナリズム」と呼ぶんですね。日本でもこの流れは数年前から強まっていると思いますが、こういうカテゴリ名がつくと流れが加速しそうですね。読者から見た中立性の議論は常にありますが、企業側からすると、結局既存メディアに広告を出して自分たちの主張を知ってもらおうとするよりも、自らメディアを運営する方が長い目で見ると安上がりになるケースが多いので、ブランドジャーナリズムが増えるのは間違い気はします。