値上げだけじゃない。インフレが生む「サービス劣化」の現実
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「ある人にとっての品質向上が、他の人にとっては品質劣化となることもある。ホテルにおけるオンライン・チェックインの導入は、望ましい「時短策」なのか、それとも「人との触れ合いの損失」なのか? 良識的な人々のあいだでも、意見が合うとは限らない。」
これはホテル業従事者としては、本当に悩ましいところです。
なるべく待たせることがない様に手際良くスムーズに手続きを済ませようとすると、
ある人は「快適なチェックインでした」とお褒めいただけるが、
ある人は「速さを追求した機械的な対応で出迎え感がなくて残念だった」といいます。
また弊ホテルには客室内に電話を設置してないので、
それをご案内すると「スマホで電話するので特に気にならない」とおっしゃる方が多いですが、
ある方は「客室に電話がないなんてホテルとして成立していない」と言われました。
結局、全ての方が満足出来るサービスなんてものはなく、
自分が満足できるサービスを提供してくれる所にお金を払っていくしかないんです。
私はこの経験を経て、
「うちはこの価格で、このサービスです。気に入らなければ来ないでください」
というメッセージを暗に発することで、
私共のサービスを求めてくるお客様だげが来やすいようにしています。
そうすることで、
お客様だけでなく、スタッフのメンタル面も守ることが出来て、
のびのびと対応出来ることでよりお客様の満足度も高まるという好循環が生まれました。
そうやって守っていくしかないと思います。
注目のコメント
消費者としてサービスに見合った価格を負担してもいいと思っています。
先日、どちらが価格に相応なのか判断しにくい体験がありました。
自宅近所にある最大手ハンバーガーチェーンは、昼の混雑時でも愛想のよい接遇、キッチンスタッフもテキパキ働き、短時間で提供される、超洗練されたサービスが安価で受けられます。
一方、その隣にある最近流行りの唐揚げチェーンは、いつ行っても愛想無い、クーポン券使えるケースと使えないケースもバイトにより回答違うし、安価で美味しいんだけど、なんか嫌な気分になるので、行きたくなくなります。
この2つ値段なりのサービスなのはどっちなのでしょうか?
勤務先が入居するオフィスビルの警備員さん、朝も帰りも挨拶してくださいます。
一方、ビルテナントの社員たちは、ほぼ無言で通過。
この2つもノーマルなのはどっちなのか毎回考えさせられます。物価指数の本質的問題を取り上げた良記事と思いました。
インフレ率は「物価指数の前年比」で表されることが多い訳ですが、現実には「去年と全く同じモノやサービス」を探す方が難しい。そこで品質調整という手法が使われる訳ですが、これは様々な問題を伴います。
まず、全てのモノやサービスに品質調整をかけているのではなく、現実には「品質調整しやすいモノ」を恣意的に選んで品質調整を行っていることです。
例えばPCなら、CPUやメモリー性能など定量化しやすい要素が多いため、ヘドニック調整をかけやすい。しかし、例えば「今の野菜は昔の野菜のように美味しくない」と言って、「●●さんの作った特別な有機野菜」などを購入する人々も多い訳で、食品の「美味しさ」(あるいは手を抜くことによる「不味さ」)に品質調整をかけることは困難です。ましてや、記事にある「サービスの質」は、品質調整はほぼ無理でしょう。
また、ヘドニック法による品質調整時代、恣意性を完全に避けることは困難です。例えば、PCの処理性能が10倍になったら効用が10倍になるのかと言えば、現実には、古いPCを持ち続けていても今のソフトの多くが十分動かせないため、仕方なくPCを買い替える人々も多い。そう考えると、PCのカタログ性能通りに人々の「効用」まで増加している訳ではないかもしれません。また、PCやスマホは世界中ほぼ同じものが供給されている筈ですが、その価格変動は、品質調整のやり方の違いを反映し、各国間でかなり違っています。
さらに、品質調整の有無や方法次第で、各国の物価指数に相当大きな差が出るということです(日本の物価指数が帰属家賃の調整次第で大きく変わるというのは有名な話)。
これは特定の物価指数が悪いということではなく、全ての物価指数が避けがたい本質的問題です。重要なことは、問題を十分認識した上で、物価指数の特定の数値に過度に拘るのではなく、他の経済変数も踏まえながら幅を持って指数を捉えることだと思います。なお、東大の渡辺先生らは「公式物価指数はインフレの実態をどこまで反映するか」と題した論文で、CPIには実際のインフレを過大評価する傾向があることを確認しています。