2021/9/26

【新】日本人が知らない「ディープな」アフガン講義

静岡県立大学国際関係学部 准教授
今月の「プロピッカー新書」はアフガニスタンがテーマ。
米国による約20年間の介入が失敗に終わった現地だが、実は古代から現代に至るまで、数々の大国に干渉されてきた歴史を持つ。
なぜアフガンは、そうした運命に直面するのか。タリバン政権が復活した今後はどのような社会になっていくのか。そうした変化が国際社会にもたらす影響とは。
日本ではあまり知られていない現地の地理、歴史、文化について、イスラーム社会を研究する静岡県立大学准教授・塩崎悠輝氏が全4回で解説する。
INDEX
  • 「帝国の墓場」という異名
  • 商人も軍隊も通過する場所
  • 「グレート・ゲーム」の主戦場
  • 中央政府の不在が統治を難しくさせた
  • 20世紀には「ソ連vs米国」の舞台に
  • 大国以外も参戦
  • こうして、ターリバーンが登場した

「帝国の墓場」という異名

米国は、2001年10月にアフガニスタンへの攻撃を開始、2021年8月30日に完全撤退しました。
この間、米軍兵士の死者数は2442人とされていますが、民間人や同盟国の兵士、そしてアフガニスタン人の死者数を合わせれば、10万人は超えています。
米国政府がアフガニスタンでの20年間の戦争に費やしたのは、少なくとも2兆ドルといわれています。
米国政府は、当初この戦争の目的を、自衛権の行使、と説明しました。2001年9月11日にニューヨークで攻撃を受けたため、そのような攻撃から米国を守るため、という理由でした。