2021/9/23

コロナワクチンをきっかけに、「生命の起源」を学ぶ

NewsPicks 副編集長(サイエンス担当)/ 科学ジャーナリスト
コロナワクチンの普及で何かと耳にする機会が増えたRNA。
そのRNAが「生命の起源」であるという仮説があり、多くの研究者に支持されているのをご存じだろうか。
40億年前の太古の地球で、RNAだけの原始生命で構成された、その名も「RNAワールド」があったとする仮説だ。
しかし、もし生命の主な要素は何かと聞かれたら、生物の全遺伝情報を保存するDNA、あるいは生物の体そのものや体内で働くホルモンや酵素を作っているタンパク質と答える人が多いだろう。
一方、RNAは、ワクチン効果で知名度が上がったとはいえ、DNAやタンパク質に比べるとあまり知られていない。何となく「脇役感」があるのも否めない。
そのRNAがなぜ、生命の起源という「大役」に浮上したのか──。
仮説の「信者」を自認する東京大学の鈴木勉教授と、独創的な実証実験で注目される富山大学の松村茂祥講師に話を聞いた。
INDEX
  • 「RNAワールド仮説」の登場
  • RNAだけが持つ「二面性」
  • 細胞に残された「化石」
  • 最後にできたのは…
  • 実験室でRNAを「進化」させる
  • 細胞に似た環境で増やしてみる
  • 材料は宇宙から?