【基礎から理解】「中国恒大」が破綻したら、何が起きるのか?
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China Evergrandeの「なぜ」がまとまっている。
補足して三つの観点から見てみたい。
①2020年以前からの伏線
不動産投資と理財商品は、China Evergrandeや2020年の規制強化以前からある話題。
2018年頃から、不動産投資を伴う巨大新興コングロ企業は、当局から注意・締め付けが始まった。代表的なのはHNA、Anbang、Wanda、Fosun。海外企業や海外不動産にも投資し、例えばHNAはDeutsche Bankの筆頭株主だったり、Fosunはトマムを買収、Wandaはゴジラのハリウッドでの映画化権を持つLegendaryを買収した(2018年の下記Pickなども併せて)。
当時、China Evergrandeは筆頭格ではなかったが、株価的なピークは2017年後半(約30HKD)。そこからはじわじわ下落基調で、今年頭には15HKDほど、そして現在は2HKD近く。
また企業だけでなく、地方政府もGDPを上げるために大規模な不動産開発・投資をしていた(融資平台という言葉がよく出てきた)。理財商品は官民両方で資金調達によく使われていたが、内容の不透明さなど将来的なリスクが懸念されていた領域(シャドーバンキング)。
https://newspicks.com/news/3301651
②中国国内への波及
不動産の価格と、政府動向次第。どの国も、不動産と負債の組み合わせは「下落が始まると止まらない」。持っているものは同じでも、価値が下がれば、実質の負債比率は悪化する。
それをどれだけ実質評価するか。実質評価すれば悪さが顕在化する一方、顕在化させないと疑心暗鬼が続く。日本はそれで長期化した。一方で、実質評価しながら金融市場を壊さないなどは、政府のブタ積みなどで一定対処できる可能性もある。
ただ、問題はそれをできるか。というのも、国民の感情論と体制が関わるから。下記でのコメントも併せて。
https://newspicks.com/news/6205043
③世界への波及
今のところは織り込んでいない。下記で見たが、金融本丸の米国の「炭鉱のカナリア」的なHY利回りやTEDスプレッドは動いていない。
あと中国の金融市場は巨大だが、世界的にはかなり隔離されているのは米国と違う。
https://newspicks.com/news/6205117
注目のコメント
株式市場を振り回している中国恒大集団問題について、基本的な事項と、専門家の今後の見通しをまとめました。
昨年夏からずっと続いている問題ですが、いよいよ社債デフォルトというタイミングになって、ようやく市場が反応した形です。放漫経営でも恒大集団は黒字だったため、他の黒字の企業も実は危ないのでは…という類推されてしまうところや、不動産価格に影響出かねない点がリスクです。
こうした混乱を避けために、中国政府は企業自体は救済しないと思いますが、住宅購入していた消費者側の混乱を防ぐための介入はするのではないかと思います。
注・後藤さまご指摘、ありがとうございます。一部有利子負債の日本円表記に誤りがあったので、修正しています。私が注目することは、
第一に、恒大の業務はほとんど中国国内にあり、世界への影響はリーマンブラザーと比べると、きわめて小さいこと。
第二に、33兆円などの数字を挙げて言うと非常に巨大のようだが、中国の地上げ屋としては巨大とは言えにくいです。政府の金では一応処理できます。問題の厳しさを認識すると、意外に早く動き出すかもしれません。
第三に、中国市場への影響はだからと言って小さいとは言えません。ますます不動産離れになり、経済もそれによって冷え込んでいきます。リーマンショックを見てアメリカは二、三年後にまた元気が出ましたが、今度の恒大ショックで同じく時間がかかるのではないでしょうか。ただし、住専の倒産のような事態はないだろうと思います。香港上場時に中国恒大の財務状況や社内コンプライアンスをチェックしなかったのでしょうか。もしできていないとしたら、中国株式市場全体が同様の状況とみなされます。それを今、中国当局は規制によって、軌道修正しようとしているのかもしれません。
米国株式市場から追い出される中国企業。その受け皿となる中国株式市場の健全性を再構築しようとしているように思えます。ゆえに、安易に中国恒大を政府が救うことはないでしょう。