5~11歳もワクチン安全、有効 米ファイザーが治験結果
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以下が公表された試験結果の要点です。
▶︎5〜11歳の2,268人の参加者で評価
▶︎21日間隔で2回接種
▶︎10マイクログラムを使用(12歳以上の人の用量30マイクログラムよりも少ない)
▶︎血中の中和抗体レベルを調べ、大人のデータと比較(より少数の参加者で行うため、抗体を評価しており、発症率などを評価したわけではない)
▶︎2回目1ヶ月後の(大人と同等の)強い免疫応答と安全性を確認
ただし、ファイザー社からの速報であり、第三者による評価を受けていませんので、まだ鵜呑みにすることはできません。また、2000名のデータでは心筋炎のような稀な副反応のリスクが十分評価できず、さらなるデータの蓄積も待たれます。臨床試験は、(1) 健康成人男子、(2) 少数の患者、(3) 多数の患者、(4) 妊婦・小児・乳幼児などの特別な対象の順で実施されますが、報道は(4)の段階の臨床試験の結果に関してのことです。
ファイザー社製ワクチンは多数例で上記(1)~(3)を多数例で実施した後、米国で緊急使用許可されました。この段階で臨床成績(実際の感染抑制率)をみるために、約2万例での臨床試験成績をそろえています。通常の医薬品の場合では、この段階では長期のデータがないため承認に至ることはないものの、当ワクチンの場合は重要性を考え、米国政府は緊急的な使用を許可しました。
その後長期成績も蓄積し、2021年8月に米国で正式承認を受けています。一方現時点では11歳以下の使用は臨床試験成績がないことから認められていません。そのため、(4)を実施して成績が集められています。段階を踏む理由は、医薬品に付随するリスクが避けられないためであり、万が一副作用が発生した場合は、その被害を最低限に抑える必要があるためです。
当試験は二重盲検比較試験では実施されておらず、臨床試験に参加した全員がワクチンを接種されています。このようなデザインで試験を実施された背景には、「すでに12歳以上ではワクチンの利益が十分に認識できる状態にあり、臨床試験においてプラセボ(偽薬)群を作った場合、あたった投与群が明らかな不利益を受けると判断される」と実施開始段階で判断がなされたことによると思われます。試験成績には(対照群がないため)臨床的有効率は算出できないという妥協があります。
臨床試験を実施してからでないと小児に投与することができないばかりか、緊急時に使用する必要があってもリスクの程度がわからないという危惧が存在したままになります。小児への適応拡大試験がなされ成績が蓄積されたことは1歩前進であり、朗報です。
米国は、教育の基本となる学校を対面で再開するために必要との考え方が日本より強いと思われます。機会均等、その上で実力次第との考えが広くいきわたっています。
小児への投与は親権者の判断ですので、健康面(副反応リスクを含めて)と能力獲得面をあわせて「接種・非接種のメリット・デメリットを合わせて理解」しないと不利益が生じることを心得る必要はあると思います。NewsPicksさんのmRNAの記事も読んだので信用したいところですが、保育園や小学校の子供に接種させるのにはなんだろう、、、根拠のない不安は残ります。
寧ろ、子供のために安全な治療薬の開発をお願いしたいところです。