2021/9/10

【ひろゆき】今のIT教育では「使われる側」しか育たない

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。
今週取り上げるのは、ひろゆき(西村博之)氏が初めて子育てや教育について語った著書『僕が親ならこう育てるね』(扶桑社)だ。
前編では、親が頑張りすぎることは、子どもの将来にとって実はリスクになりうるという話を伺った。
この後編では日本のIT教育に対するひろゆき氏の考えや、自身が今の生き方に至った背景について掘り下げていく。
INDEX
  • 子どもにはタブレットよりPCを配れ
  • 「やってはいけない」だけ決める
  • 無駄な仕事をする日本

子どもにはタブレットよりPCを配れ

──文部科学省の「GIGAスクール構想」では、学びを個別最適化し、創造性を育むという目的のもと、2020年に日本全国の小中学校で一人一台、タブレット端末が配られました。
一方、ひろゆきさんは児童養護施設にパソコンを配ったことが話題になりました。
ひろゆき 配るべきはタブレットではなく、パソコンだと考えているからです。
パソコンであれば、プログラムを組んだり、データをグラフ化して分析したりするなど、高い自由度で学ぶことができますが、現状では、支給されたタブレットで、しかも決められたアプリしか使えない。
これでITを使いこなせる子どもを育てようというのは無理があります。
誰でも使えるように設計されたスマホアプリで学んだところで、一消費者にしかなれません。IT人材を増やしたいというのであれば、パソコンを使ってプログラムを組み、アプリを作れる「生産者」を育成しなければいけません。
──文科省がパソコンでなくタブレットを配ったのは、コスト的な問題なのでしょうか。
金額的なコストというよりも、タブレットなら好きなプログラムを自由にインストールできないようにフィルタリングできるので、先生にとって管理コストがかからないからだと推測します。
そういった危機管理ができる先生がいれば、一人一台パソコンを使わせることは難しくないはずですが、現実はそうではありません。
写真:i-Stock/recep-bg
かつては家のパソコンである程度の使い方を覚える機会もあったのですが、いまや簡単な調べものや連絡はスマホで事足りてしまうため、タッチタイピングすらできないまま就職しようとする大学生も多いと聞きます。
しかし、パソコンで仕事をするスキルは社会に出てから必須。学校でパソコンが配れないのであれば、キーボードを打てるという最低限のラインは家庭で親が教えてあげて、早めにクリアしておくのがいいと思います。

「やってはいけない」だけ決める

──ひろゆきさん自身も、ご両親からファミコンの代わりにパソコンを買ってもらったおかげでITに親しむことができたというエピソードをよく語っています。
ご両親からは、どのように育てられたのでしょうか。
ひろゆき 基本的に放任主義だったので、親から「あれしろ、これしろ」と言われたことは一切ありません。パソコンも「これで好きに遊べ」と与えられただけ。
先ほど「子どもに与えるならタブレットよりパソコンがいい」と言いましたが、これでタイピングやプログラミングを学べと強制したところで、子どもからすると「やらされている状態」になってしまいます。自分から頑張って上達しようとはならないでしょう。