2021/8/29

【直言】日本には「感染症の危機管理」のプロが少なすぎる

NewsPicks 副編集長(サイエンス担当)/ 科学ジャーナリスト
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の世界的流行から1年半。各国でワクチンの接種が進むが、変異株の登場も影響し、収束の時期はまだ見通せない。
全世界で449万人が命を奪われ、社会活動の停止やそれによる経済的打撃をもたらした。
感染症がもたらす危機が国家の安全保障や危機管理に関わる重大事であることを、世界中が認識したと言えるだろう。
そんな中で、日本は感染症の危機管理に関する国家戦略や、そのための人材が欠けていると指摘する人物がいる。この春まで2年間、世界保健機関(WHO)で健康危機管理官を務めた阿部圭史氏だ。
INDEX
  • 「危機管理」が必要な感染症とは
  • 専門家に不可欠な5つの素養
  • 「危機後」に向けた会議に日本人がいない
  • クルーズ船対応での「失点」
  • インタラクションレビューを実施せよ

「危機管理」が必要な感染症とは

──一口に感染症といっても、日常的にかかる風邪からCovid-19のようにパンデミックを引き起こすものまでいろいろあります。国家として「危機管理」が必要になるのはどんな感染症ですか。