タリバン、アフガン首都に迫る 米「差し迫った脅威」否定
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アフガニスタン34州の内、すでに20州はターリバーンが占領しました。
ここでいう「差し迫った脅威」は、首都カブールが直近には占領されない、という意味で、たぶん、まだ3日ぐらいはだいじょうぶ、ということでしょう。3日以内に占領されてしまうと、米国人千人以上の脱出が間に合いません。
そうはいっても米国大使館からは、夜通しで書類などを焼く煙が上がっているのが確認されているので、本当に「差し迫った脅威はない」と考えてはいない可能性も高いでしょう。そう言っておきながら、できるだけ早い撤収の準備を進めていることは間違いありません。
カブールが何日後に占領されるか、の計算は、カブール政府が持っている兵力では計算できません。兵の数も兵器もあてにならないからです。
今のアフガニスタンは、1945年8月にソ連軍が侵攻を開始した後の満州国のようなものです。もう負けるのはみんなわかっているので、負けた後の命と財産の保障か、国外に脱出することしか考えていません。満州国軍が20万人いるとかいってもすぐに寝返るか逃げるかするし、日本軍も満州国のために戦うより一刻も早く本国に帰りたい、といった状態です。
カブール政府は、一般の兵士から政府高官に至るまで、大事なのは自分の故郷の地域共同体です。カブール政府など、親戚でも何でもなく、そのために戦う義理はありません。その自分の故郷の地域共同体が今はターリバーン側についていいます。地域共同体の元締めである長老たち(昔の日本でいう庄屋とか名主、あるいは地侍のようなもの)が、カブール政府軍から離脱するようにSMSを送って来れば、即座に離脱します。
カブール政府からは、確実にパラパラと人が抜け落ちていって、やがて誰もいなくなるでしょう。カブールを保たせようとすれば、確実な方法は、米軍の部隊を数千人送り込むことで、その間は保つでしょう。ほんの数時間前にカブールから20キロの地点にあるヴァルダク州の州都マイダーンシャーがタリバンに無血開城しました。
既にタリバンはカブールから数キロの地点まで接近していると思われます。
またCNNは諜報機関の分析として72時間以内にカブールが陥落する可能性があると報じました。
これはタリバンとアフガニスタン政府との間になんらかの交渉が進んでいる可能性を示唆しています。
ここまで20の州都が陥落していますが、その大部分は殆ど戦闘がないまま、地元部族の長老の説得に応じ、無血開城しています。
中でもヘラートの軍閥の盟主で、ムジャヒディンの英雄的存在だったイスマーイール・ハーンがタリバンに降ったのは象徴的です。
タリバンは攻勢が始まる前に、2週間でアフガン全土の制圧が可能だとロシアには伝えていたそうです。
20年にわたって兵士を訓練し、各部族にネットワークを張り巡らせ、綿密な戦略をたてて、十分な勝算の上で総攻撃を開始したということです。
一方政府軍は軍閥を武装解除して中央集権、装備の近代化を進めたものの、腐敗したアフガニスタン政府を命をかけて守ろうという兵士は少なく、軍閥の民兵が解体されたことでかえって地域の防衛力の低下を招きました。
今後の展開を考えると、かつてタリバン兵士を虐殺した前科のある北部軍閥のドスタム将軍は徹底抗戦するでしょう。
しかし政府の中枢はタリバンとの交渉を選択する可能性があり、その際仲介役となるのはガニー政権、タリバンの両方にツテがあるトルコだろうと思わます。
アフガニスタン情勢は最終段階を迎えつつあります。何でアメリカはアフガニスタンを突き放すのかがわからなくて、ちょっと調べたんだけど、ここにはこの地域ならではの問題があるらしい。私のまとめなので違ってるかもですが。
バイデンはオバマ時代からアフガニスタン支援には懐疑的だったようです。金や軍事的支援をしてもアフガニスタン政府はアメリカにおんぶに抱っこで自主性が弱い。一方で、米兵の犠牲は大きく、タリバンも粘り強い。このまま当事者のやる気の薄い戦争に加担するのは持続不可能で早々に見切りをつけたほうが後の被害が少ないと見たようです。
そもそも中露のほうがアフガニスタンに近く、イスラムの過激な勢力が大きくなれば自分たちが困るわけです。遠くのアメリカがご丁寧に彼等の仕事をやってくれていて都合が良かった。これからは中露がなんとかする問題にしてくれということかも。
ただ、タリバンにアフガニスタンを渡せば、また米を狙うテロが活発化する可能性もあり、そう簡単な話でも無さそうです。今後も注視。