2021/8/15

【総力】北京冬季オリンピックの新型コロナ対策に注目

INDEX
  • 国の威信をかけた「封じ込め作戦」
  • 東京大会の「教訓」を生かす
  • 大会関係者の入国は「東京以下」
  • 厳しすぎる対策にIOCは及び腰
  • アスリートの「準備不足」に懸念
  • 「テクノロジー」でウイルスに対抗

国の威信をかけた「封じ込め作戦」

防護服に身を包んだ警備員が、立ち去る人々をいつでも止められるように準備している。アスリートたちはプラスチック板越しに、マイクを使ってインタビューに応じている。一日中脇に挟んだ状態にしておける体温計には小型の送信機が付いていて、発熱を検知するとアラームが鳴る仕組みになっている――。
北京冬季オリンピックをわずか6カ月後に控えて、中国当局は入念な新型コロナウイルス感染症対策を計画している。8月8日に閉幕した東京オリンピック(関係者400人超の感染が報告された)をはるかに上回る措置が導入される見通しだ。
中国は、ウイルスの封じ込めが最優先事項だとはっきり示してきた。
東京の新規感染者が増えるなか、北京の組織委員会は7月30日に行った記者会見で、39の施設の設計を見直す計画を発表。現在、作業員たちが通路を分割し、トイレやその他の設備を追加する作業を進めている。
この設計の変更は、アスリートたちが審判、観客や記者たちと一切接触しないようにするためだ。観客や記者など異なる集団の接触もないようにする。異なる集団間の交差感染を最小限に抑えることが目的だ。
「追加の防疫措置は、工事の規模もさほど大きなものではなく、難しい作業でもない」と、北京五輪組織委員会の劉玉民部長は語る。「期限までに全会場の準備が整う見通しだ」
北京五輪組織委員会の劉玉民部長(Andrea Verdelli/Getty Images)