(ブルームバーグ): 中国の配車サービス最大手、滴滴グローバルは米国での新規株式公開(IPO)後に規制当局が始めた調査を終わらせようと、配車関連のデータ管理を手放すことを検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。

滴滴は強力な権限を持つ国家インターネット情報弁公室の理解を得るため、民間の第三者機関にデータ管理を委ねることなどさまざまな案を示している。交渉は非公開だとして関係者が匿名を条件に語った。関係者の1人によれば、第三者機関は国有が好ましいとの考えを当局側は示唆している。

滴滴や中国IT大手を阻むネット規制当局-対米競争でデータ管理強化

滴滴にとって、1日当たり2500万回の乗車と約4億人の利用者・運転手を調整するデータへのアクセスは不可欠だが、こうした提案がどの程度の影響を与えるのかは不明だ。

また滴滴の提案によって同弁公室が納得するのかもはっきりしていない。外国での上場がデータ流出を招き国家安全保障が脅かされ得るリスクを問題視する当局の反対にもかかわらず、滴滴は米株式市場への上場に踏み切った。

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ソフトバンクグループと米ウーバー・テクノロジーズという滴滴の大株主より多くの同社株を中国の国有企業に持たせることも提案の1つだと関係者の1人は話した。強制的な非公開化と米国預託証券(ADR)の上場廃止も可能性としてあるものの、この選択肢をどのようにして実行するかは不明だ。

滴滴のADRは6日の米株式市場開始前の取引で一時15%高となった。

国家インターネット情報弁公室はファクスでのコメント要請に応じていない。滴滴の担当者にメッセージと電話でコメントを求めたが返答はない。

原題:Didi Said to Weigh Giving Up Data Control to Appease Beijing (1)(抜粋)

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