2021/8/16

【対談】コスパとキャリアデザインで考える、30代からのクレカ術

NewsPicks / Brand Design  編集者、クリエイティブディレクター
コロナ禍によってリモートワーク&リアルのハイブリッドな働き方が広まり、生産性が向上したという声は多い。しかし移動や出会いが減る中で、いつの間にか視野や目標までもが内向きになってはいないだろうか。

アフターコロナが間近に迫る今、鈍りかけているビジネスパーソンとしての感度を回復させるには、移動によって、自らの五感を刺激する環境に身を置くことも重要だ。

キャリアデザインに詳しい法政大学教授の田中研之輔氏と、自らも億の富を築いた投資家であり、動画配信やメディア出演などを通じた投資家支援を手がける井村俊哉氏が、アフターコロナのキャリア形成と自己実現について語った。

アフターコロナの“超過利益”はどこから来るのか

──ワクチン接種が進んだことでアフターコロナが近づいている感もありますが、お二人の働き方はどう変わっていますか。
田中 ほとんどのミーティングがオンラインになって効率が上がった反面、外出の機会が減ったのがさみしくもあります。
 なにしろ、コロナ前は月に1度は海外に出かけるほど、外の世界ばかり見てきたタイプだから。そこで、最近はデイユースのホテルやカフェなどを仕事場に加えてみたところ、これがなかなかいい。気分も変わって、仕事がはかどる気がしています。
 場所を変えるとそれだけで脳が刺激を受ける感じがするのですが、特に、知らない場所に行くと一層、クリエイティビティが高まる感覚があります。
井村 専業の個人投資家でも、旅が好きな人は多いです。PCやスマホと通信環境があればどこでも取引はできるので、今沖縄にいるとか北海道にいるとか、SNSでもよく目にしますね。
 僕にとっては自宅にこもり、オンラインで打ち合わせをしながら株式市場をウォッチしたり、企業のIR資料をチェックできるのでむしろ快適。だけど、確かにオンラインは万能ではないと感じています。同じ空気を共有できないせいか、人との信頼関係を築きにくい気がする。
田中 そうなんですよね。最近は企業などの顧問をお引き受けするときは、一度は会ってお話しするようになりました。やっぱりライブ感があって、エネルギーが伝わりやすい。
 キャリア形成には「時間と空間の視点」の獲得が大切になります。テレワークで外出の機会が減っていることはもちろん、長く同じ職場で同じ業務を続けているだけでも、空間の視点で見るとキャリアは閉ざされていることになります。
 こうした人は職場を変えることはできなくても、勤務時間以外でもっと出会いや行動範囲を広げたり、副業に挑戦したりするなどしてキャリアをひらいていく必要があるんです。
 私自身、刺激や発見を求めて知らない場所や国に出かけて行っては、次のキャリアやアウトプットの種を探すことを繰り返してきました。コロナ禍でこうした行動が制限されたことで、改めて人に会ったり出かけたりすることの価値を実感しましたね。
井村 普通は行かないような場所に行き、人と違う体験をするという考え方は投資に通じるものがあります。株式市場は成長しているので、理屈では放っておいても利益は出るんですが、個別株を手がける投資家は市場平均から上乗せした超過利益を狙います。
 これを「α(アルファ)」というんですが、このアルファの源泉のひとつが、他人が気づいていない事実を発見する力なんです。
 田中さんのように、あえてあまり知られていないような場所に出かけて経験を積むことも、アルファの発見につながりそうですね。僕はそんなふうに遠出することには消極的で、家で開示資料を一枚でも多く読む派ではありますが……。
田中 投資で成功されて資産もあるのに、どうしてどこにも行かないのですか? 
井村 その時間があれば決算書を読みたいと思ってしまうんですよね(笑)。それと、消費に関心がなく、旅行したいとか豪遊したいとか思わないんですよ。
 奥さんは旅行が大好きなので行きたがるんですけど、結局は遠出するのは帰省ぐらいです。その際も必ず「えきねっと」という新幹線のきっぷを割引で購入できるサイトをチェックして、コスパ良く移動しようと思っちゃうので、ぜいたくとは無縁ですね。

この1枚でどこでも行けて、なんでも買える

──こうしたおトク情報に詳しい方の中には、マイルをためて旅行を楽しむ人は多いですが、井村さんはいかがでしょうか。
井村 もちろん、買い物は全部クレジットカードなどキャッシュレス決済にしてポイントをためてます。コスパ重視で、帰省には「えきねっとトクだ値」を利用していますが、マイルはためてないですね。
田中 僕はSuicaとJALカードが一緒になった「JALカードSuica CLUB-Aゴールドカード」を使っているので、JALマイルもJRE POINTもいっぱいたまりますよ。普段づかいではJALのマイルがたまり、JR東日本の利用ではJRE POINTがたまるんです。
 どうせ“ポイ活“するなら、こういう旅行系のポイントをためて家族をどこか連れて行ってあげたらどうですか? 普段と違う環境に身を置いたり、知らない場所を経験するのはお子さんたちにも貴重な経験になると思うけどなあ。
井村 ゴールドカードって、正直、年会費が気になりませんか? 僕は自分が買い物で使える額と、それでどれだけ還元を受けられるかという還元率をシビアに計算する“最強コスパ男”なので(笑)。
田中 還元率なんて考えたことなかったなあ。僕も昔は何枚もクレジットカードを持っていたんだけど、カードばっかり増えていくのが嫌になっていたんですよね。そこへ、JALカードがSuicaを搭載すると聞いたので、「持ち歩くカードが減らせそうだ」と思って申し込んだんです。
 これがあまりに便利だったので、他のカードは解約してこの1枚に集約しました。ゴールドカードが登場したときには、迷わず切り替えましたね。
──ゴールドカードを持つことで、年会費分のメリットは感じますか?
田中 30代で初めてゴールドカードを持ったときは今よりもずっと収入が少なかったけど、社会的な信用を得たような満足感があったことを覚えています。「このカードにふさわしい人間にならないと」とも思いました。
 今は、常に持ち歩いているのはスマホと、スマホケースに入れたこのカードだけで、いつも一緒の“相棒”みたいな存在です。電車も飛行機も移動は全部これで足りるし、決済もSuicaならかざすだけだから圧倒的に楽です。行動のログを残せるのもいい。
 たまったマイルは最近、高級ホテルの食事券に引き換えました。旅に行けないときでも、非日常が味わえるのもいいんですよ。日常のカード使いが非日常につながっていく──これもメリットだと感じています。
井村 本当に心底このカードにほれ込んでいますね(笑)。
 昔は還元率が0.1%でも有利なカードが絶対的に正義だと考えていましたが、最近は還元率が最高のカードを持っても数年で改悪されるケースが増えています。
 都度、高還元率のカードに乗り換えることも考えましたが、手間やストレスを考えると、コスパはむしろ悪い。
 おそらく、今後は年会費無料で得られる還元率は1%程度が上限になっていくのではないかと思います。だったら還元率だけでなく、満足度の得られる特典や、田中さんのようにご自身にフィットするカードを長く使うのも全然アリですね。

若いうちから“自分の稼ぎ”の限界値を決めるな

──田中さんが愛用しているJALカードSuica CLUB-Aゴールドカードのサービスが改定されまして、ポイント還元率がおトクになりました。
 えきねっとの予約時決済で最大10%、モバイルSuicaでの定期券購入では最大6%のJRE POINTがたまります。新幹線でもきっぷ発券の必要がなく、Suicaをかざすだけで乗車できるので、シームレスに移動しながらポイントもたくさんたまります。
井村 マジですか。えきねっとでは「えきねっとトクだ値」で新幹線のきっぷをおトクに購入できるので、帰省のときは必ず利用しているんです。もともとかなりおトクなのに、その上10%のポイントがたまるというのは、リアルに最強かもしれない。
 しかも、きっぷ発券の必要がないというのもうれしいですね、小さい子どもたちを連れて券売機に並ぶのはかなり大変だったので。
えきねっとでJRきっぷをJALカードSuica CLUB-Aゴールドカードで予約時決済すると、えきねっと利用ポイントを合わせると10%還元となる。また、モバイルSuicaでのグリーン券購入で合計10%、定期券購入で合計6%と、JR利用でポイントがザクザクたまる。もちろん、JALマイルのためやすさはそのまま。空港・東京駅ラウンジ利用や充実の旅行保険など特典が満載で、電車も飛行機もこれ1枚で乗りこなせるスマートなカードだ
田中 還元率とか意識したことがないんだけど、使う金額が増えてくるとポイントがバンバン降ってくるような印象がありますね。しかも、JRE POINTはそのままSuicaにチャージできるのでつかい漏れの心配もない。
井村 空港ラウンジとか、ゴールドカードならではの特典もよく利用されるんですか?
田中 もちろんフル活用してますよ。ギリギリで空港に駆け込んで大慌てで搭乗するのはイケてないと思っているんで、かなり早く空港に着いてラウンジでひと仕事したり、ビールを飲んでリラックスします。
 こうしたゆとりは上質なインプットのためにも必要ですよ。
 最近知ったんですが、東京駅にも特典で使えるラウンジがあるそうで、次に新幹線を使うときは利用しようと思ってます。
東京駅1階 八重洲中央口前にある「ビューゴールドラウンジ」。JALカードSuica CLUB-Aゴールドカードをお持ちの方で、当日東京駅発(東京駅着はNG)の新幹線グリーン車・特急列車グリーン車を利用する方などが使える(写真提供:株式会社ビューカード)
井村 成功している個人投資家の中には、高級車を買ったり、家賃が100万円以上するタワーマンションに住んだりして自分を“追い込む”人がいます。
 僕からすると、そんなお金があったら投資に回すほうが効率的だと思うんですが、資産が何十億にもなるとモチベーションの維持により気をつかうようになると。
 結果を出し続けるために、あえて自分に“出費”という負荷をかけて強制的にモチベーションをキープしているようなんです。同じように、ゴールドカードはもしかしたら、自分を奮い立たせてくれる存在になるのかもしれないですね。
田中 自分の稼ぎの限界値を決めてしまうのは、つまんないですよ。特に30代ぐらいまでの若い人には、今ある収入の範囲内で支出を分配して小さく人生をまとめてほしくないですね。
 キャリアは自分への投資の成果でもあるので、むしろレバレッジをかけて人生にベットしないと。グローバルで活躍したいと志向する人だったら、お金をためて準備してから海外に行こう……ではなくて、資産形成の途中でも、自己投資として行くべきなんですよ。
井村 30代で手の届く範囲にまとまる必要なんてないというのは、僕も同感です。自分の人生は、業績がグングン成長していくのが前提の「グロース株」だと思った方がおもしろくなる。
 僕自身、コスパだとかポイ活だとか細かいことも気にしていますが、こと投資においては、「次のステージに登るチャンスだ」と思えるときにはおもいっきりバットを振るリスクも取ってきました。
 論語の中で孔子は「三十にして立つ」と説いていますが、僕はこれを「自分の人生がなんのためにあるのか」を示す旗を立てるイメージに解釈しています。
 田中さんのおっしゃる通り、その旗を立てるために必要なコストなら、ちゅうちょなく投じるべきですね。
<ポイント付与の条件・注意点>
※ゴールドカード利用分でのポイントは、付与率ごとの毎月の利用額1,000円(税込)につき所定の付与率でポイントが付与される。
※えきねっとの利用・ポイント付与には、JRE POINT WEBサイト会員登録、えきねっと会員登録およびJRE POINTとの連携手続きが必要。新幹線eチケット(指定席)をチケットレス乗車で利用すると、2%のポイントが付与される。
※モバイルSuicaの利用・ポイント付与には、モバイルSuica会員登録およびJRE POINT WEBサイトへのモバイルSuicaの登録が必要。
※各サービスの詳細やポイント付与について、詳しくはこちら。
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