中国企業、台湾TSMCや鴻海にワクチン1000万回分提供へ
コメント
注目のコメント
上海復星はビオンテック社の開発したmRNAワクチンについて「中国」での販売権を2020年3月に得ていた。ビオンテック社はファイザー社と世界中にmRNAワクチンを供給しているが、そのカバー範囲は「中国以外」。しかも合意発表は、実は上海復星の方がファイザーより先。その後、いつの間にか上海復星が台湾を含む「大中国市場」で販売権を持つという整理になっていて、台湾にmRNAワクチンが届かない事態になっていた。蔡英文政権は上海復星からのワクチン調達には消極的だった。
ここに財界の大物、TSMCと鴻海(ホンハイ)創業者のテリー・ゴウが仲介した形。上海復星の製造するmRNAワクチン1,000万回分を買い上げて、台湾の人々へ提供する。
日本だとTSMCは米国寄りというイメージだが、実際は、南京など大陸に多くの工場とサプライヤー群を抱えている。中国を簡単に切るという話ではない。中国と台湾の両方でビジネスをやってきたTSMCと鴻海ならではの動き。経済安全保障の複雑さを象徴する、とても興味深い動き。
(参考)
「大中国市場」という台湾排除の論理
https://toyokeizai.net/articles/-/436662?page=3Hon Haiのテリー・ゴウ氏が設立する慈善団体などを経由することがポイント。
Hon Haiは、中国に大量に工場を持つ。TSMCも同じiPhone用サプライチェーンに入るが、TSMCは中国にも工場があるものの、大部分かつ最先端は台湾。それに対して、Hon Haiは中国が大部分で、それは組立部分だから。それを実現しながら、中国とHon Haiおよびテリー・ゴウ氏の相互依存関係はできている。
一方で、実際に打つのは台湾の方々。本件や、テリー・ゴウ氏などについて、台湾の方々はどういった所感を持たれているのだろうか気になる。今回はいわゆる三角貿易で、ワクチン自体はドイツから台湾へ直送される形で、ラベル等も台湾向けにラベリングされるとのこと。
台湾の人々の抵抗感に配慮した立て付けになっています。元々上海復星醫藥もワクチンの提供自体は問題ないとしており、以外の交渉で時間がかかったのだろうと推察します。
上海復星醫藥が台湾エリアを含む販売権を持つと宣言し、台湾政府が直接動きにくい中、民間があいだに入った形です。
国際空間が狭い台湾では、民間が表に立つ動きが良く見られます。