[ワシントン 7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が7日に公表した6月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、金融政策当局者が米景気回復の「さらなる著しい進展」について、おおむね「まだ達成されていない」との認識を示したことが分かった。会合では、物価やその他のリスクが具現化した場合、行動に移す準備が整っていなければならないとの見解で一致した。

要旨によると「個々の参加者」は引き続き、資産購入縮小の条件が「想定していたよりも幾分早期に満たされる」という見解を示した。一方、他の参加者は入手されるデータが示すシグナルは明確でないと述べ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の経済活動が再開したことで先行き不透明感がいつになく高いと警告。いかなる政策変更も「忍耐強い」アプローチが必要であると指摘した。

それでも「圧倒的多数」の当局者は、物価上昇リスクが「上振れ方向にある」と述べ、こうしたリスクが具現化した場合、行動を取る準備ができていなければならないとの見解でFRB全体が一致した。

議事要旨は「参加者はおおむね、周到な計画という観点から、必要な場合に資産購入のペースを落とすための態勢を整えることが重要と判断した」と説明。「委員会の目標に向けた予想以上の進展や、目標達成を妨げる可能性のあるリスクの出現といった予期せぬ経済情勢の変化」に対応するとした。

議事要旨では、コロナ禍で導入した資産購入措置と超低金利政策をFRBがいつ変更し始めるかは明確になっていない。ただ、今後の政策を巡る議論が本格的に始まったことは示された。FRB当局者は米経済が直面するリスクや不確実性についてさまざまな見解を示し、住宅ローン担保証券の購入規模を米国債よりも早期に縮小すべきかといった詳細にも踏み込んだ。

ブラックロックの米州債券部門責任者ボブ・ミラー氏は「金融政策の再調整が検討されている」とし、FRB内にはさまざまな意見があると指摘した。

議事要旨の発表に米株式市場とドル相場は反応薄だった。米10年債利回りは若干上向いた。

FOMCは先月の会合で、長らく使っていた、新型コロナ危機が経済の重しとなっているとの文言を外し、パンデミック後の世界に移行した。パウエルFRB議長は、金融政策をいつ調整するかについての「議論について話し合った」と述べた。

こうした協議が始まったことに加え早ければ2023年に利上げを開始することを示す金利見通しを受け、市場参加者は、失業率が依然高く、物価上昇がある中でもFRBが予想より早く金融緩和を終えると見込むようになった。

パウエル議長は6月のFOMC後の記者会見で、金利を現在のゼロ近辺から引き上げる時期はかなり先だと述べる一方、FRBが月額1200億ドルの資産買い入れをいつ縮小し始めるか、そしてその計画をどのように発表するかについて「会合ごと」に検討し始めると語った。

投資家が気にするのは、協議がどの程度の速さで発展し、実際に買い入れを縮小し始める時期がいつになるのかだ。FOMC以降、複数の地区連銀総裁が、中銀は手を引くべき段階に近づいてきたと表明。同時に、資産買い入れの縮小に関する計画を練り、発表するには複数の会合が必要になるとしている。

FOMCは年に8回実施される。次の2回は7月の27─28日と9月21─22日。その間、FRBはワイオミング州ジャクソンホールで年次会合を開く。ここでFRB議長はしばしば政策変更を示唆する。

ロイターのエコノミスト調査によると、FRBは資産買い入れの縮小に関する計画を8月か9月に発表する見込み。最初の買い入れ縮小は来年の早い時期に行われるとみられている。