2021/7/3

【解説】三菱電機社長が電撃辞任「5つのポイント」

三菱電機の杉山武史社長は7月2日、辞任の意を表明した。
社内調査で明らかになった、鉄道車両用空調設備の不正検査など、一連の不祥事に対する引責辞任である。
製品の品質保証をするための検査が、一部の工場では意図的に情報が「偽装」されてきた。それが1985年以降、35年あまりも組織ぐるみで行われてきたことが明らかになった。
会見は東京本社で行われた(写真:つのだよしお/アフロ)
会見の冒頭、杉山氏は、一部の国内工場にて、製品の不適切な検査が行われてきた経緯などを説明し、陳謝した。
複数の品質問題事案が判明しており、それを、自ら発見・是正できなかったことは、誠に申し訳なく、深くお詫び申し上げる。
不正検査のため製品の欠陥を見過ごし、重大な人身事故が発生したわけではない。大規模な製品のリコール(自主回収・修理)の必要性が、現時点で生じたわけでもない。
それでも、杉山氏は辞任する。なぜなのか。その背景を5つのポイントに分けて整理していく。
5つのポイント
  • ① 繰り返された不正検査
  • ② 不正、株主総会で公表せず
  • ③ 後任社長人事は月内にも決定
  • ④ 第三者委員会を設置
  • ⑤ 重大事故は発生せず

① 繰り返された不正検査

社内調査の結果、不正検査が明らかになったのは、同社の長崎製作所(長崎県西彼杵郡時津町)が製造する鉄道車両用の空調装置など。
JR東日本、JR西日本、JR東海の新幹線や通勤電車、私鉄各社、地下鉄の車両用に搭載されており、私たちにとって実は身近な存在だ。