2021/6/24

「藻を第二の石油に」バイオベンチャーの大胆な戦略

コンサルタント(元NewsPicks記者)
藻は、石油の代わりになれるのか──。
50年後には採掘できなくなるとされる石油。燃料やプラスチックといった、私たちの生活に欠かせないものの原料であるため、代替となる資源の開発が叫ばれている。
そうした中、期待が集まるのが「微細藻類(びさいそうるい)」だ。
微細藻類とは、植物の一種で、直径10ミクロンほどの非常に小さな生き物。単細胞のため、分裂して増殖する。
微細藻類からはさまざまな成分を抽出できるが、油も取ることができる。その油は、石油と同様に燃料やプラスチックの原料になる。
他にも、洗剤・シャンプーの原料や、タンパク源といった利用方法も検討され、健康食品の分野では既に多くの商品が販売されている。
微細藻類の一種、クロレラ(写真:Sinhyu/iStock)
そのような期待が集まる一方、微細藻類は、培養コストの高さから事業化が難しいとされ、撤退や廃業に追い込まれる企業も少なくない。
ちとせグループは、微細藻類に取り組む企業として、国内でトップ集団にいる1社だ。今はまだ小規模の培養しかしていないが、2025年までに、東京ドーム約400個分にあたる2000haの大規模な培養を目指すという。
多くの企業が乗り越えられていない、「培養コストの壁」をどう乗り越えようとしているのか。
NewsPicksは、CEOの藤田朋宏氏と、微細藻類事業の統括責任者の星野孝仁氏に、取材を敢行。その戦略を徹底的に聞いた。