2021/6/9

【解説】アルツハイマー新薬承認「3つの注意点」

アメリカの食品医薬品局(FDA)が6月7日に承認したアルツハイマー型認知症の新しい治療薬が話題だ。
米バイオジェンと日本のエーザイが共同開発する「アデュカヌマブ」のことである。
このニュースを受けて、バイオジェンの株価は1日で38%上昇。エーザイの株価も6月8日に19%上昇した。
しかし、今回の新薬承認は、素直には喜べない理由もある。
アルツハイマー征服』の著者であり、2000年代からアルツハイマー病研究を追ってきたノンフィクション作家の下山進氏の解説とともに、最新情報をアップデートしよう。
INDEX
  • 「アデュカヌマブ」とは何か?
  • 【注意点①】対象が「初期段階」
  • 【注意点②】承認は「条件付き」
  • 【注意点③】1回47万円、年間610万円
  • これからの注目点は?

「アデュカヌマブ」とは何か?

まず、「アデュカヌマブ」についておさらいしていこう。
「アデュカヌマブ」は、「ヒト型モノクローナル抗体」と呼ばれる抗体を活用した治療薬だ。
少しややこしくなるが、「アデュカヌマブ(Aducanumab)」は一般名で、商品名は「アドゥヘルム(ADUHELM)」となる。
米マサチューセッツ州ケンブリッジにあるバイオジェンの本社 (写真:AP/アフロ)