[北京 27日 ロイター] - ドイツのBMWやダイムラー、米フォード・モーターといった自動車大手が、自社の車が中国で得るデータの収集拠点を中国内に設置している。ロイターに対し各社が認めた。車から収集する情報の取り扱い方を巡り、自動車メーカーに対する圧力が中国で強まっていることを物語る。

自動車は運転支援のためセンサーやカメラの搭載がどんどん増えている。ただ、そこから収集されたデータはメーカーの手に渡って、自動運転技術などの新技術開発にも使われ得るとされる。これがプライバシーや安全保障上の懸念を呼んでいる。そうした懸念は、情報がメーカー本社など海外に送られる際には一段と強まることになる。

既に米電気自動車(EV)のテスラは、中国での顧客データの保管と取り扱いを巡って、同国当局から公然と監視を受ける形になっている。ロイターは先週、車載カメラへの安全保障の懸念を理由に、一部の中国政府機関職員がテスラのマイカーを政府機関の敷地内に駐車しないよう指示されたと報道。同社は25日、中国で販売するすべての車が収集するデータについて、保管拠点を同国内に設置したと発表した。

他社も、これと同様のことをしていると話した。

フォードは、昨年上半期に中国にデータセンター1カ所を設置したことを明らかにした。中国のすべての車からのデータは中国内で保管しているという。

BMWも「中国の車」向けのデータセンターを同国で運営していると認めた。設置した時期には言及しなかった。

ダイムラーも、自動車からのデータを保管する「専用の」施設が中国にあるとした。

米ゼネラル・モーターズ(GM)とトヨタ自動車は中国でのデータ管理方法について話すのを拒んだ。フランスのルノーは、中国に車のデータセンターはまだないとした。日産自動車と欧米系のステランティスはそれぞれ、中国の規則に従っていると返答したが、詳細は明らかにしなかった。

フォルクスワーゲン(VW)は、データ保護規則を順守するのは「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の成功に不可欠だとした一方で、「規制環境はなお急速に進展しているため、特定の話題についてコメントするのは尚早と考える」と答えた。

中国で得たデータを海外の拠点と共有しているかについて答えた会社は1社もなかった。

ホンダと現代自動車はコメント要請に返答がなかった。

中国政府は2017年に、同国内で収集したデータの国内保管を全企業に義務づける法律を導入。同国当局は今月、運転データ収集では顧客から承認を求めることを自動車メーカーに義務づける規制草案を発表、パプリックコメント期間に入っている。この草案には、データの中国内での保管を義務づけ、データを外国拠点に送りたいときは規制当局の許可を必要とする内容も盛り込まれている。