2021/5/5

【澤 円】会社の名前ではなく、職業で自分を語る

株式会社圓窓 代表取締役
マイクロソフト時代に、ビル・ゲイツの名を冠したMVP賞を受賞するなど圧倒的な成果を上げ、「プレゼンの神」と慕われる澤円氏。

2020年10月に独立した後も、多業種からオファーが絶えない「個人力」を発揮している。

自身のことを「ポンコツ」と自虐するが、実はそこに強みの源があるという。澤氏のキャリアの拓き方に迫る。(全7回)
INDEX
  • “就社”に違和感、内定辞退
  • 「SEです」と自己紹介した男性
  • 「情報系」の仕事に就きたい
  • 落ちこぼれからのスタート

“就社”に違和感、内定辞退

僕が社会人になったのは1993年。
バブルが崩壊し、世間が浮かれ気分から目を覚ましかけた頃。それでも採用はまだ堅調で、僕の周りでも40社、50社内定は当たり前の時代でした。
特になりたい職業を見つけていなかった僕は、何も考えず就職活動をしていました。そして、気づいたら中堅生命保険会社の内定式に出席していました。
つつがなく進行する内定式の会場にいながら、ふと湧いてきた強烈な違和感。「これって就職じゃなくて“就社”だよな。果たしてこれで“職”を得ると言えるのか?」。
もう一人の自分のささやきを無視することはできず、僕は間を置かずに内定を辞退。もう一度、就活をやり直すことにしたのです。
大学4年生の年末、卒業まで3カ月という時期でした。
澤 円(さわ・まどか)/圓窓 代表
1969年、千葉県生まれ。立教大学経済学部卒業後、生命保険会社のIT子会社を経て、1997年にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社。情報コンサルタント、プリセールスSE、競合対策専門営業チームマネージャー、クラウドプラットフォーム営業本部長などを歴任し、2011年にマイクロソフトテクノロジーセンター・センター長に就任。業務執行役員を経て、2020年に退社。2006年には、世界中のマイクロソフト社員のなかで卓越した社員にのみビル・ゲイツ氏が授与する「Chairman's Award」を受賞した。年間300回近くのプレゼンをこなすスペシャリストとしても知られる。