米2社コロナワクチン、1回接種でも感染リスク80%低減=CDC調査
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米国CDCからの報告によると、医療関係者の中で、1日あたり、ワクチン未接種の方では1000人中1.38人のペースで感染が起こっていた傍ら、2回接種を完了した方では1000人中0.04人ペースの感染しか見られませんでした。
症状の有無に関わらず、定期的にPCR検査を行って感染自体を捉えていたため、純粋な感染リスクに近いものを評価したと考えられます。
いわゆるランダム化比較試験ではないこと、医療関係者という特殊な集団からの報告であることなど、一般への適用には限界もあるデータではありますが、臨床試験結果やイスラエルからの報告などと矛盾しない結果であり、有効性をますます確実なものとする報告と考えられます。
また、この90%という数字が、変異ウイルスの広がりもある中でのデータであることは今後に向けて期待を持たせる結果でもあります。
1回接種でも80%低減とありますが、有効性は1回目の接種から2週間後にはすでに部分的に出はじめることを示すものと捉えていただくのが良いと思います。
一方で、2回目の接種で有効性が確実に高まることも分かっており、1回接種での効果の持続性も不明であることから、依然として2回接種が推奨されることを改めてご確認ください。
引用文献: https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7013e3.htm米ファイザー・独ビオンテック製(mRNAワクチン):28日間隔で2回接種
米モデルナ製(mRNAワクチン):28日間隔で2回接種
臨床試験に基づく承認のプロセスを経て認可された条件が上記の通りです。これを政府の認可当局(FDA:アメリカ食品医薬品局)とは別の部門(CDC:疾病対策センター)が、「1回の接種でも感染リスクが大幅に減る」との情報を出すことは極めて異例だと思います。
こういうデータが出てくることは、科学の発展には有意義で、次回のワクチン開発の参考にはなるでしょう。しかし、法規制下では、このような非承認の投与方法を推奨すると罰せられます。従って、「1回投与が推奨されることはありません」。
1回投与の用法容量の申請は製薬企業の仕事です。実施するとなると、あらたに大規模な臨床試験の実施が必要ですが、莫大な費用を負担する上に、結果、販売額が減少することから、実施はされないでしょう。ただし、他社にライバル品が出てきて、2回接種が大きなデメリットとなる場合の対抗策としては、絶対にないとは言い切れませんが、むしろ改良型を開発するときに、最初から1回投与の臨床試験計画が試みられるでしょう。
この情報が出ることで、「他社製の1回接種タイプのワクチンと同等以上の効果が期待できる」という意見出て、「それでいいや」と思う方は出てくるでしょう。
しかしながら、医薬品の有効性を語るときの基本的留意事項としては、試験(対象者)の背景をそろえること、無作為化を行うこと(投与する側も投与される側もどちらを使っているかわからない=二重盲検比較試験)を前提としなければ、優劣に関する判断は言えないという、「常識」があります。
なぜならば、試験を実施する側は、対象患者を選べる場合は「効果出そうな患者(接種者)」を自社製品の投与対象にし、「効果が出なさそうな患者(接種者)」を他社製品(またはプラセボ)の投与対象にすれば効果・リスクにバイアスをかけることが可能だからです。
そういう意味から、別の「医薬品もどき健康関連商品」記事でも話題になっていましたが、そのような点で「科学的に実証」と謳われているものに、全く根拠がなかったりします。気をつけて見て頂きたいのが1回接種で80%の予防効果が確認できたのは接種から2週間後の時点という点です。これらのワクチンは3-4週間後には2回目を接種するので、1回接種での予防効果の持続は確認できません。接種回数1回でも十分とは言えないので注意が必要です。