(ブルームバーグ): 任天堂は、拡張現実(AR)を使ったゲームを開発する米ナイアンティックと長期的な視点に立ち、スマートフォン向けアプリの開発で業務提携をすることで合意したと発表した。同社にとって4番目の提携先となる。

今回の提携でナイアンティックは、任天堂のゲームに登場するキャラクターを使ったスマホ向けアプリの開発を行う。ナイアンティックによると、第1弾は歩くことを楽しくするをテーマに「ピクミン」を使ったアプリを2021年後半に投入予定だ。ピクミンは任天堂の代表取締役フェローである宮本茂氏が01年に制作したゲーム。

ナイアンティックは15年にアルファベット傘下のグーグルからスピンアウトした企業で、AR技術を用いたスマホ向けアプリの開発で世界を主導する。任天堂傘下の株式会社ポケモンと開発した「ポケモンGO」が最大の成功例だ。今回の「ピクミン」アプリの開発には、「ポケモンGO」を担当した野村達雄氏が携わっている。

16年以降、ディー・エヌ・エーやサイゲームス、LINEなどと共同開発した任天堂のスマホゲームは10本にも満たない。15年にナイアンティックはグーグルや任天堂などから3000万ドル(約32億6000万円)の資金調達をしたが、今回は業務提携にとどまる。

任天堂の23日の株価は続伸し、一時前日比2.2%高の6万4390円を付けた。エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは、「長年投資家の間でくすぶっていた任天堂のスマートフォンアプリ収益化に関する不満を解決する可能性がある」とした。その上で、今回はナイアンティックと直接組むことで「大きな収益貢献が期待できる」と分析した。

(株価とアナリストコメントを加筆しました)

©2021 Bloomberg L.P.