2021/2/14

【未来予測】最強はAI・5G・クラウドだ

1月下旬から不定期配信中の、「成毛眞 2040 未来からの提言」。

第3弾は、山本 康正氏(京都大学大学院 特任准教授、DNX Ventures インダストリー パートナー)との特別対談だ。
いつロボットタクシーは実装されるのか? 世界旅行での飛行時間はどこまで短縮されるのか?
コンバージェンスやエクスポネンシャル・テクノロジーはどのような新革命を生むのか?結局は過去の技術の集合体?など、テクノロジーの進化について具体的に未来予測する。
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GAFA+Mで注目すべき企業

成毛 いまGAFA+Mの中で注目している企業はどこか?
山本 成毛さんがマイクロソフト出身だからというわけではないが、マイクロソフトが非常に興味深い。
最近だとCES2021が終わった後に、GM、クルーズ、といった自動運転の会社に資本を注入して自動運転の商用化に期待をしていくと、これをどう実現するかというところを発表した。今後どういった展開になるのか注目している。
成毛 自動運転で最も注目している会社をひとつふたつ挙げるとすると?
山本 最近の動向だと、GMとクルーズはホンダとも組んでいて新しい展開をしている。そこにマイクロソフトも加わる。
さらにクラウドを持っているという観点でいうと、マイクロソフト・グーグル・アマゾンの3社が強いものを持っていると思う。
グーグルはウェイモがあるし、アマゾンはズークスという会社を最近買収していたり、オーロラという会社に出資していたりするので、この3社のクラウドと自動運転のマッチしているところがこれから伸びてくるのではないかと予測している。
成毛 実際に6Gが始まると、データトラフィックがめちゃくちゃ大きくなるので、昔のようにデータセンターが一箇所だけということはない。
例えばアマゾンのAWSのサーバーは、東京都内だけでおそらくもう10箇所くらいある。全世界で言うと、もう何千箇所とある。
それがあるがゆえに、6Gのデータトラフィックが非常に重くなっても、サーバー側のレイテンシ(遅延)が低いので、やっとそれで自動運転が可能になるというイメージ。
そう考えると、自動運転のロジックより、データセンターを持っているところが強くなるかもしれない。

オセロの角はAI・5G・クラウドだ

山本 私もちょうど「2025年を制覇する破壊的企業」の中で、今であれば5G・AI・クラウドの3つのトライアングルが非常に大事だと執筆し、「2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ」ではコンバージェンスという形で話が出ていたが、こういった組み合わせを持っていることが大事だと説明している。
コンバージェンスという考え方は、5G(6G)とAIとクラウド、3つともあると相乗効果でどんどん発展していくということ。
例えば自動運転を分解していくと、画像認識なのか、ライダーなのか、色んなテクノロジーがパズルのように組み合わさって、それではじめて自動運転が実現される。
どういった組み合わせがいいのか、オセロの角はどこなのか、というのがコンバージェンスという考え方では大事になってくる。
成毛 オセロの角というのは?
山本 私が思うのは、AI・5G(6G)・クラウドの3つ。この3つがあって、あとはこの大きなインフラに乗っていくイメージ
例えばVRだとか、IoTだとか、色んなテクノロジーのバズワードが出てきていると思うが、これは分解するとなんなのか、どのインフラに乗っているのかと考えていくと、結局大きな土台に乗っているという話になってくるので、ここをきちんと持たなければならない。
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成毛 6Gが実用化されるのは何年くらいだとイメージしてる?
山本 これまでの経緯からすると約10年ごとにきてるので、2030年くらいには規格としては出すことが可能だと思う。
その時のどれくらいの性能の伸びがあるか、というのはこれからどんどん開発競争が進み、同様に6G、7Gという風に進んでいくと思う。

クラウドはただのデータ貯蔵庫ではない

成毛 6Gが2030年ごろ目安ということは今から9年後だが、その間のクラウドサービスの量的進化と質的進化はおそろしく進化しているはずだが、?
山本 クラウドというのはデータをただ貯蔵するだけではなくて、それをどう加工するかというアプリケーションの方も重要になってくる。
グーグルであればテンサー・フローだとか、AWSであれば同じような人工知能のものを持っている。例えば比較対象でいうと、AppleはiCloudを持っているが、iCloudの中では演算処理するだとか、グーグルやアマゾンと対抗できるような機能をまだ持っていない。
そういった意味では、ただデータを貯蔵するだけではなく、どう加工するかという、料理で例えると素材というデータに対して、切りやすい包丁を持っているかどうかが鍵になってくる。
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成毛 今までのクラウドって何かビジネス目的で使われていて、ある種のビジネスのためのアプリケーションパッケージみたいなのがいっぱいあって選んで使うイメージだった。
今後、おそらく音声とか動画をリアルタイムで取り込みながら、要らないものを取り除いていくといった技術が出てくるだろう。
ちょうど日本でもクラブハウスが流行り始めたが、クラブハウスの音声を聴いていると、例えば咳とかゲップとか多分誰かしてるはずの音が聞こえない。
おそらくはクラウド側でノイズ処理をきちんとしてまとめたものを、オーディエンスに提供している仕組みになっているとすると、リアルタイムの動画処理とか数年後には凄まじく性能が伸びているだろう。

ユーザーごとに変わるシナリオ

山本 例えばNetflixで映画を視聴していて、カメラが付いていて、そこで視聴者の表情から喜怒哀楽を読み取ることができれば、ユーザーごとに合わせたシナリオを最適化することも可能だと思う。
成毛 それは楽しいですよね。楽しいってことは需要があって、当然のことながら作る人たちが出てくる。
しかもNetflixは今、制作費だけで1〜1.5兆くらいだと思うが、2030年には10兆円くらいになっていると予測すると、もうなんでもやり放題。
想像しがたいと思うが、視聴者ごとにエンディングが異なる作品はほぼ間違いなく出るだろう。
それだけの需要が喚起されるということは、またそれだけのお金も動き、それをやっていくと日本企業や地上波の人たちは手の施しがないような製作能力の差になってくる。
アメリカの地上波やHuluなどは、対Netflixではどういう感じか?
山本 Netflixはあまりにも強いので、それに対抗して一番奮闘しているのはディズニー。
Disney+というストリーミングアプリを出して、最近公表した数字だと獲得数がかなり伸びている。新型コロナの状況により、家族がステイホームしていて、そこに合わせたコンテンツ提供をしているというところで猛追している。

大事なことはバズらない

成毛 この10年のエクスポネンシャリティーというのは凄まじいけど、さらに次の10年後、さらに20年後となると、もはや凄まじいスピードで量的質的エクスポネンシャリティーが発揮されると思うが、その中で絶対に抑えておかなければいけないキーワードとは?
山本 エクスポネンシャルという観点では、5,000万人のユーザーに届くまでの時間のデータによると、車や電気がたしか50年くらいかかったのに対し、iPodやFacebookのようなものは4年くらい。実はポケモンGOは19日。
ああいったところがアプリを出して爆発的なヒットをすると、たった19日で、3週間くらいで世界が変わる。
なので、コンバージェンスが合成されてさらに速くなっていく、おそらく5,000万人という数字はアプリユーザーがどんどん広がっているので、より短くなっていく。
したがって、ひとつキーワードを挙げるとすると「速度」。
拡がる伝播速度が非常に大事。その中で特に重要なところが、行動経済学をちゃんと習得し、いわゆるマッチング理論などもしっかり分かった上での設計をすること。
成毛 このマッチング理論はあまり気付かれていないが、とりわけビジネスマンは知っておかなければいけない理論ということは間違いない。
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