JT、たばこ事業見直し 1000人規模の希望退職を募集へ
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喫煙者が減少している社会に対応するためのリストラという側面がないわけではないでしょうが、今回の対応は①JTのグループの完全グローバル化と②ESGの流れを汲んだものだと見ています。
1985年に民営化したばかりのJTは国内売上100%のドメスティックな会社でしたが、いまや売上の6割を海外で稼ぐグローバル企業になっています。
グループのたばこ事業も実質的には既にスイスがグローバル本社になっていて、買収した英ギャラハー出身の経営陣が主要メンバーに名を連ねています。
グローバルに稼ぐ消費者向けビジネスなので消費者に近いところに本社機能を置くのは教科書的には当然であり、今回の一連の対応もこれにならったものではないでしょうか。
また、SDGs/ESGが津波のように押し寄せていまる近年、化石燃料ビジネスからの機関投資家のダイベストメント(投資撤退)は話題になっていますが、ギャンブル関連やたばこビジネスからも手を引く投資家が一部で出てきています。
フィリップモリスも株価は下落一本調子ですし、JTもリスク低減たばこ商品の開発に力を入れていますが、株価はピーク時の半分。サステイナビリティにさらに舵を切っていく準備なのでは。喫煙者減少に関するコメントが目立ちますが、そのトレンドは過去から続いています。
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html
よって、別の原因を求めるのが正しいと思われます。
一番参考になりそうなのが、決算説明書。
https://www.jti.co.jp/investors/library/presentation/pdf/20210209_03.pdf
2021年をマイナス成長としています。その中でむしろ国内タバコ事業はプラス成長予測。
海外タバコの為替影響やコロナにより医薬事業が苦戦中。
とはいえ、いずれもタバコ事業に比べたらまだまだ小さい。
これを少し視点を変えてPPM的に評価します。
すると、国内と海外タバコ産業が金のなる木に該当します。
一方で医療や食品加工など、明らかにスター探し中。
すなわち、自らヘビースモーカーである世代が作り上げた既存のタバコ事業から新事業にシフトするにあたり、タバコ事業を作り上げた人たちは時に抵抗勢力となりがち。そして人件費も高いが、発想は古く、新事業を生むタイプでもない。
要は事業シフトにおけるレガシー人材の肩たたきだと思います。希望退職のニュースにさらっと添えられていますが、たばこ事業の本社機能を海外部門のスイスに統合する、という発表もされています。
逆風下にあって、グローバル企業に転身するための聖域なき意思決定が行われたようです。