【図解】Z世代が熱狂する「オカシオ=コルテス」とは何者か?
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「バーテンダーから」といっても、ボストン大学卒業後に、一時母親のやっていた店を少し手伝っていた、というだけです。同時に自分の会社を経営したり、全米ヒスパニック協会に勤務していたりしました。
両親はプエルトリコ人移民で、ニューヨークでもブロンクスに住んでいたそうなので、資産はあったのでしょう。高校の時に国際高校生科学フェアに出場し、微生物学分野で2位に入るほどの優等生でした。こういうのは、米国の大学への入学審査にはすごく効果があります。
このあたりの同議員の「貧困からの成り上がりストーリー」の実態については、米国のメディアですでにかなり指摘されていることです。
問題は政策とその実行力ですが、典型的な米国の急進的リベラルで、移民の増加擁護、銃規制推進、環境保護への支出増大、などです。やや特色があるのは、積極的な財政拡大で、教育に限らず、国民皆医療保険制度などの社会保障を充実させるという点です。
同議員自身、「民主社会主義者」と呼ばれることを肯定していますが、特に英国、米国の民主社会主義、斬新的な社会改革を目指すいわゆる社会改良主義の延長上と考えていいでしょう。オーウェンとかフェビアン協会、アメリカ社会党の流れです。彼らは、議会を通した社会改良のために、自分たちの小政党はつくらず、政権をとれる大政党に加入するのも特徴です。
米国でこの流れの民主社会主義者が政権をとったことはまだありません。同議員自身は、北欧の福祉政策を民主社会主義の典型と考えているようですが、人口の規模も財政の基盤も米国は全然違うので、さすがにそのままは適用できないでしょう。AOC面白い!!
しかし、彼女のプログレッシブという政策面は今の日本と似ていませんか?
巨額の財政出動をしながら、国債依存率を増やして、コロナ対策をして、最大多数を延命しつつ(アメリカや中国はもっとバンバン倒産させてしまう)国全体としては若い世代にツケを回しながら、徐々に沈んでいく。
AOCが正しければ、日本にとっては朗報ではないかということと、
AOCが間違っていれば、将来のツケを払うかもしれない若者世代が熱狂しているという事実が非常に興味深いと思いました。
それだけ、アメリカ社会は格差と分断が進み、それに、みんな苦しんでいる。トマピケティの、資本が稼ぐことが、人が労働するより効率いいという資本主義の事実を、体現しているのがアメリカです。個人的には好きなタイプの政治家では無いですが、確かに影響力はすごい。ただ、一点確実に間違っていると思うのは、「大学の無償化」です。これは本質的な問題の解決にはならないし、むしろ問題を悪化させる可能性がある。
・そもそも、彼女が救いたいと思っている、アメリカの恵まれない子供達は、まともに小中高にも通えていないので、コストが下がった所で大学に通える訳ではない。解決すべきは大学以前において良質な教育を受けられる子供達の数を増やすこと。
・学費無償化によって、アメリカ人の大半が大学に通うことになれば、大卒のプレミアムは無くなる。それは、貧困家庭から這い上がる一つの手段である、「高学歴を獲得する」という手段の効果を弱めてしまう。そもそも今でも優秀なマイノリティ層には奨学金を用意する学校は多い。根本の問題は、大学に通える学力を備えた子供の数を増やす為の小中高教育を提供すること。
・公立大学を無償化にしたところで、私立大学は金を稼ぎ続ける訳で、公立と私立で教育サービスの格差を生む可能性がある。今ギリギリの財源で頑張っている公立大学(UC Berkeley含む)の質を下げる可能性がある。そうすると金持ちは私立に流れ、そうでない人は質の下がった公立に、という流れを生むかもしれない。
※なお、私はアメリカ人では無いですが、超インフレしたアメリカの学費による借金を背負っています。ここまで高額の学費を払う意味はあるのかは微妙な問題ですが、アメリカでの経歴・人脈の無い外国人がアメリカの大学に通うメリットはいまだに大きいと思います。