米FRB、ゼロ金利と量的緩和維持 完全に景気回復するまで継続
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既に配信したレポートでも触れたように、会見では財政支出の一層の拡大に伴うインフレ圧力の上昇の可能性や、強力な金融緩和による住宅や社債でのバブルの可能性が数多く指摘されるなど、とにかくtaperingに前向きなコメントを引き出そうとする記者の意図が感じられました。
これに対するパウエル議長の反応は、他の専門家の方々が指摘された通りですが、中でも雇用の回復に時間がかかることに加えて、雇用や所得に関する打撃が弱者に集中していることを再三強調したことが印象的でした。
FOMCが、資産買入れのフォワードガイダンスを物価と雇用だけに紐づけてしまっただけに、雇用問題の解決が難しいことを強調しすぎると、危機モードの資産買入れからの転換を図る上での市場との対話に難しさが生ずるリスクがあります。
注目のコメント
会合後、S&P500株価指数はもみ合いつつも10月以来の大幅下落で引けました。パウエルFRB議長の記者会見を一部見ていましたが、テーパリングへの言及の憶測を真っ向否定するためか、景気の見通しに対して慎重なトーンで、一千万人近くの失業者数などについて何度か繰り返していました。
市場は、この慎重なトーンと、その割に追加緩和への言及もなかったことに反応したようです。
因みに、急騰のゲームストップ株や資産バブルの可能性などについても記者から質問がありましたが、当然直接の回答はありませんでした。
いずれにしても、景気回復に時間がかかることや、一部資産の価格上昇がスピード違反気味なのも恐らく事実。ここから先は、業績のアップサイドがある企業等を厳選する必要がありそうです。株価が大きく下落しているのは、FRBの見通しが思いのほか厳しかったからでしょうか。
ワクチン接種が明るい兆しとなっていたのですが、「現在進行中の公衆衛生の危機は引き続き、経済活動、雇用、インフレの重しとなり、経済見通しに著しいリスクをもたらしている」とコメントしています。パウエル議長はこれまで通り、早期テーパリングについて否定的なスタンスを示しましたが、ドル高に振れましたから、一部で追加緩和に対する前向きな姿勢の期待があったのかもしれません。