2021/1/20

【大山加奈×スプツニ子!】アスリート界の当たり前を疑え

SportsPicks/NewsPicksSports
2000年代前半には、女性特有の健康状態から、ハードなトレーニングが心身に大きな影響を及ぼす可能性があることが指摘されていた。
しかし、それが日本において広く知られ、対策が取られることはなかった。
むしろ、女性スポーツ競技は「女を捨てろ。」「男勝り。」──そうした言葉に代表されるように、普通の「女性」とは違う、または「普通の女性」を規定するものとして、それらを当然のものと捉えられてきたと言える。
変わらなければいけない時。日本のスポーツ界はその曲がり角にある。
女子バレー日本代表で活躍してきた大山加奈氏と、アーティストでありデザイナーとしても活躍するスプツニ子!氏に対談をしてもらった。

女性アスリートの「リアル」

──今夏には昨年から延期された東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定されています。スポーツ界に注目が集まる今だからこそ考えておきたい問題もあります。その一つが「女性アスリート」が直面する現実です。まず、スプツニ子!さんは、スポーツや女性アスリートに対してどんなイメージがありますか?
スプツニ子! 最初にお伝えしなければいけないのは、私自身はすごくスポーツが苦手なんです(笑)。
ずっとインドアでアートやプログラミングの世界でやってきて、アスリートとは対極にいるタイプ。なので、縁遠いところからですが、“競う”という大変な世界に身を置きつつ、毎月変わる女性の身体、バイオリズムのことを考えると、きっとたくさんの問題を抱えてやっているんだろうなと。
──今、ご指摘があった「身体」で言えば、女性アスリートならではの問題として、2007年にアメリカスポーツ医学会が定義した女性アスリートの三主徴 (FAT※)というものがあります。大山さんは、ご自身の経験を踏まえていろいろ発信され、昨年には長年の不妊治療の末、妊娠されたことを公表されましたが、女性アスリートの課題についてどう感じられていますか?
大山 現役時代、身体はだいぶ酷使してきましたし、心を病むようなこともありましたけど、生理不順や無月経の経験はなかったんですね。
その弊害を感じたのは引退後です。そういう生活を何年も続けてきて、引退し、いざ子どもが欲しいとなったときに何年も授からず……。不妊治療を経て授かることはできましたけど(20年9月に双子の妊娠を公表。現在妊娠9カ月)、将来のことを考えず、目先の勝利ばかりにとらわれて競技を続けてきたことが本当に正しかったのか。