(ブルームバーグ): 10年物米国債利回りは新型コロナウイルス感染拡大を受けた3月の混乱以降で初めて1%を上回ったが、民主党が米上院を支配することになるならば、利回り上昇はまだ始まったばかりかもしれない。

米ジョージア州で5日行われた連邦議会上院2議席の決選投票で民主党候補が2議席とも獲得し財政支出拡大に道が開かれるとの期待から、10年債利回りは6日に一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。

民主党が上院を支配すれば、ホワイトハウスと上下両院を全て民主党が押さえる「ブルースウィープ」の状態になる。これを見込んで投資家は既に、リフレトレードを復活させている。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのマネーマネジャー、ジェームズ・エイシー氏は、そうした結果は「もちろん、米国債利回り上昇を促すと見なされる。リフレトレードは既に始まっており、問題は上院決選投票の結果がどこまでそれを推し進めるかだ」と話した。

5年物と30年物の利回り格差はトランプ氏の大統領選勝利で成長とインフレの加速期待が高まった2016年11月以来の大きさに達した。トロントドミニオン銀行の世界戦略責任者、リチャード・ケリー氏は「明らかなスティープ化トレードで債券売りだ」と述べた。

コロンビア・スレッドニードルのポートフォリオストラテジスト、エド・アルハッサイニー氏は、30年債利回りが現在の1.78%程度から2.25-2.50%まで上昇する可能性があるとみている。みずほ銀行のシンガポール在勤経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏は「不確実性がどんどん消えて行けば」10年物利回りが短期間のうちに1.5-2%へと上昇し得るとの見方を示した。

AP通信は、民主党候補2人のうちラファエル・ウォーノック氏が共和党現職ケリ-・ロフラー氏に勝利したとの当確見通しを伝えているが、もう1議席について結果が判明するまでは上院の行方は分からない。

原題:Treasuries Breaching 1% on Democrat Sweep May Just Be the Start(抜粋)

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