ソフトバンクG、低価格PCR検査を個人にも 21年3月に
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検査の拡充自体は反対ではないですが、『無軌道な』検査の拡充に意味があるのかを考える必要があります。
皆さんが、体調不良で病院に行き『問答無用で』鼻に綿棒を突っ込まれて『インフルエンザではありませんね』と言われたとしましょう。
そして、実はその体調不良が『腹痛』だったとしましょう。
いくらなんでもと思われるのではないでしょうか?
検査を無軌道に拡大するということは、病歴や身体所見を軽視した検査を広げるということです。
すでに、無軌道な検査の有効性が低いことはわかってきています。
▷Lancet Infectious Diseases 2020; 20:1105-6.
検査は診断に至るためのツールのひとつにすぎません。
病歴や身体所見を行い、必要な検査につなげるのが診断学の基本です。
『ベイズの定理』として有名です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86
『ある薬物の検査が感度99%かつ特異度99%だ(つまり検査によって薬物の使用者のうち99%が陽性となり、非使用者のうち99%が陰性となる)と仮定する。
さらに社会の0.5%が薬物使用者であるとする。
無作為に選ばれた個人がこの検査で陽性だったとき、薬物使用者である確率はいくつか?』
感度99%、特異度99%であっても、
『陽性であると期待される15人のうち、5人のみが薬物使用者』
となります(不思議に思われる方は、リンク先を御覧ください)。
そして、現在のPCR検査は『検査陽性になりやすい時期に』『ただしい検体採取を行った場合』で感度70%程度です。
個人的には、
▷検査能力は広げるべき → 病歴・身体所見から、『必要なひとに速やかに検査を提供する体制』が必要
▷無軌道に検査をするべきではない → 偽陰性や偽陽性を多く生む可能性がある。もし偽陰性のひとが出歩けば感染拡大につながるし、偽陽性のひとが病院にいけば、感染のリスクがあがる
と考えており、もし、検査を行うのであれば、
1)身体所見や病歴を取る体制を整えること
2)陽性や陰性に対しての説明や対応ができること
をセットにしなければならないと思います。社会の安心のために、という気持ちはわかるのですが、偽陽性がどの確率で出てくるのか気になります。
仮に感染していない人が興味本位で100万人受けると、特異度99%の高精度検査でも最大1万人規模の偽陽性が出てパニックになるのでは…と思うのですが。無症状の人たちが「とりあえず」こぞって受けるようになると、真陽性より偽陽性のほうが多くなりそうで、検査受ける母数がふるいかからないと、素人感覚でもヤバい予感がします。
堀向先生のコメントやこちらの〈コラム〉がとても勉強になります:http://www.hc.u-tokyo.ac.jp/covid-19/tests/