2021/1/8

【GO三浦×疲労回復の名医】ガチ健康相談。疲れに負けない“カラダの作り方”

NewsPicks, Inc. Brand Design Editor
 テレワークが拡大し、ワークスタイルが多様化している。
 しかし、必ずしもそれがすべてにおいてプラスに働いているわけではなく、生活リズムの乱れや運動不足を感じている人も多いのではないだろうか。
 日々多忙なビジネスパーソンにとって、With/Afterコロナ時代の体調管理はどうあるべきか。
 The Breakthrough Company GO 代表取締役 PR/Creative Directorの三浦崇宏氏が、疲労医学の第一人者である東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生に、高パフォーマンスを生み出すための体調管理術について聞いた。

会食が減ったのに、体重増の謎

三浦 最近、コロナ禍で会食は少なくなったのに、体重が増えてしまっていたんです。
 “コロナ前”までは、昼も夜も会食、なんなら深夜にも会食する毎日でした。
 169センチ98キロ、小兵力士として大人気の“炎鵬関”と同じ体形というのがウリだったのに、コロナ禍でこうした会食がなくなると、痩せて炎鵬を名乗れなくなっちゃうと心配したんですよ。
 ところが、先日体重を測ってみたら、痩せるどころか増えている。
 今の体重は大台超えの105キロで、逆の意味で炎鵬を名乗れなくなってしまったんです(笑)。
博報堂、TBWA\HAKUHODOを経て、2017年に独立。カンヌ広告祭・日本PR大賞・フジサンケイグループ広告大賞・Campaign ASIA Young Achiever of the Year2013・AD fest・2016年カンヌライオンズクリエイティブフェスティバル ゴールド(ヘルスケアPR部門)・グッドデザイン賞金賞など受賞多数。最新著に『超クリエイティブ 「発想」×「実装」で現実を動かす』がある。
梶本 テレワークや会議・商談のオンライン化で、移動が減っていることが影響しているかもしれませんね。
 都内で毎日通勤している人は、1日8,000歩以上歩いているというデータがあります。
 これは若い人だと少し足りませんが、中高年ならこれ以上の運動は必要ないほどの活動量です。
 ところが、テレワークになると歩数は2,700歩まで減少するんですよ。体重に影響する人がいてもおかしくはありません。
 実は、ランニングの時間を懸命に確保したりするよりも、「移動」のような普段意識していないことがかなりの運動になっていたりするんですよね。
大阪大学大学院医学研究科修了。大阪外国語大学保健管理センター助教授、大阪市立大学医学部 客員助教授、大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授などを歴任。文部科学省「疲労と疲労感に関する分子神経メカニズム研究班」で疲労の定量化技術の開発に携わり、「産官学疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」ではプロジェクト責任者を務める。主な著書に『なぜあなたの疲れはとれないのか?』『すべての疲労は脳が原因』『隠れ疲労ー休んでも取れないグッタリ感の正体』などがある。
三浦 意識したことはなかったけれど、移動だけでもかなりの運動になっていたんですね。確かに、普段意識にのぼらないことが実は重要ということは多い。
 例えば、思考一つとっても、意識して思考を働かせている時よりも、トイレやお風呂、散歩している時にひらめくことがよくあって。
 あれは、突然アイデアがひらめいているわけではなくて、単にそれまで蓄積していた思考が、リラックスした瞬間に結実しているだけなんですよね。
梶本 ただし、意識にのぼるのを待っていると手遅れということもあります。
 例えば疲労は、「疲れた」と感じたときにはすでに相当なダメージを負っているので、回復するには睡眠をとるしかありません。
 実は、それまでに疲れのサインがないわけではなく、意識にのぼっていないときに、なんらかの「衝動」を感じているはずなんです。
三浦 衝動?
梶本 普段なら歩く距離なのに「タクシーに乗りたいな」と思ったり、楽しいはずの遊びの予定がなぜか面倒に感じてしまうことがありませんか。
 仕事中になんだか飽きてきて、ついスマホを触ってしまったり。
 こうしたちょっとした衝動は、最初に現れる疲労の兆候です。まだ自分も意識できていない。
三浦 面白いですね。
梶本 そしてその衝動の正体こそが、「飽きる」です。
 仕事中に「飽きた」と感じたら、それは脳が疲労のサインを送っている証拠。仕事へのやりがいや達成感がある人ほど疲労を自覚しにくいので、脳が発する3つのシグナルに注意を払うようにしてください。
 「なんだかやる気が出ないな」のような、普段意識していないけれど、どこからともなく湧いてくる衝動は、身体がアラームを鳴らしているサインです。
 忙しい人ほどこうした衝動に耳をすませて、本格的に疲れてしまう前に休憩を取る必要があります。

健康管理こそパーソナライズが必要

三浦 なるほど。あと先生にご相談したいのが、「睡眠」です。
 3時に寝て8時に起きる生活でそもそも睡眠時間が足りていないのですが、イビキもすごいらしく、睡眠の質が良くなくて。昼間に突然、強い眠気に襲われることもあるんです。
 睡眠時無呼吸症候群(夜間の睡眠中に無呼吸と低呼吸(イビキ)を繰り返す病気)を疑って検査したところ、その傾向はあるけど保険適用で治療できるほどではないという診断でした。
梶本 それは心配です。
 イビキをかいていると取り込める酸素の量が減るので、脳に十分な酸素が届きにくくなります。
 睡眠時に脳の酸素供給が十分でないと、脳は血圧と心拍を上げて活動量を上げる必要に迫られ、運動しているときと同じ状態になってしまう。
 これでは脳の疲れは取れないし、回復する暇がないので日中に眠くなってしまう。結果、パフォーマンスの低下につながります。
三浦 この問題にはしっかり向き合う必要がありそうですね。
 他社との比較にさらされながら、限られた期間内で最大のパフォーマンスを求められるクリエイターやビジネスパーソンにとって、体調管理は最低限の「義務」でもあるので。
梶本 睡眠時無呼吸症候群自体は遺伝しませんが、喉や顎など骨格や体形が影響するので結果的に親子が似る傾向があり、生まれつき発症しやすい人はいます。
 ほかにも遺伝や体質はさまざまな病気に影響していて、生活習慣に刺激されて遺伝子が発現することもある。
 健康管理は本来かなりパーソナルな問題で、どんな病気のリスクを持っているか、どんな生活習慣でそれが発現しやすいかは人によってまったく異なります。
三浦 昔からファッションでは個性が重視されてきたし、今はあらゆるものがパーソナライズされていて、スマホひとつとっても皆自由にアプリを入れてカスタマイズしますよね。
 それなのに、最も個人差が激しいはずのヘルスケアの領域は、性別と年代でカテゴライズされている程度なのは、確かに違和感があります。
梶本 睡眠や食事など健康に大きく影響する習慣に対しても同様で、服にはこだわる人も寝具には無頓着だったりするのも不思議です。
 マットレスや枕を体のサイズや体重に合ったものに変えるだけでも、睡眠の質は向上させられるのに。食生活に関しても、その人に合った栄養の摂り方で体調やパフォーマンスも改善できます。
 ただ、自分の栄養の過不足はわからないので、客観的に評価して継続的にモニタリングしていく仕組みがあるのが理想です。

スマホに支配されない時間を作ることで、思考のバランスを保つ

三浦 結局、体調管理ができていないのは、「自分を大切にできていない」ということでもありますよね。
 そして、自分を大切にできていないということは、自己理解が足りていない。自分の興味や関心・感情に、無頓着なわけですから。
 現代のビジネスパーソンに共通する最大の問題は、その自己理解のための、「自分と向き合う余裕や時間」を作れていないことにあると思うんです。
梶本 三浦さんは、どのように自分と向き合う時間を確保されていますか。
三浦 「移動」の時間を大切にしていて、都内はほぼ電動機付き自転車で移動しています。
 電車やタクシーに乗るとついスマホを見ちゃうし、通知が来るたびに反応してしまいますが、自転車を漕いでいる間はスマホに思考の主導権を奪われません。
 電動機付きでラクなので運動の効果は期待していませんが、思考のバランスを保つために機能している大切な時間だと感じています。
梶本 そういうアウェイではない空間で、自分の時間を持つのはとても大切です。
 そもそも人間は、アウェイの時間が長すぎますからね。ライオンだって狩りに出る時間は2~3時間で、それ以上がんばると身が持たないのであとはホームの安心・安全な環境でダラダラしているんです。
 人間だって、8時間も働くのが当たり前なんて、現代になってからです。
 帰宅しても、そこが本当にリラックスできるホームかといえば、そうではない場合もあるでしょう。
 現代人が置かれている環境は大変厳しい。だからこそ、人やスマホからも干渉されない、自分だけの時間を確保することがとても重要です。
三浦 流行のサウナもそうですよね。自分、あるいは友人とのホームの時間を楽しむ。スマホを遮断して、自分の主導権を取り戻す。ブームになっている理由も、恐らくそれが本質かもしれません。

健康もエッセンシャル消費の時代に

三浦 コロナ禍で社会は大きな困難に直面していますが、一方で良い側面を挙げるのであれば、それは「自分と向き合う時間」を作れたことではないでしょうか。
 本業以外にやりたいことを見つけた人や、家族との時間を取りやすい働き方に魅力を感じた人も多い。ぼくは8:6の時代と呼んでいるのですが、今後は「収入は8割になっても構わないので、労働をこれまでの6割に抑えたい」というニーズが増えてくると予想しています。
梶本 私も会社を経営していますが、6割の時間で8割の成果を出してもらえるなら、会社としてもありがたい。
 もちろん、そのためには生産性を向上させる必要がありますが、コロナ禍をきっかけに労働時間を短縮するだけの働き方改革から、仕事効率を上げていく本来の意味での働き方改革の意識が浸透している。
 個人でも上手に休んだり、睡眠や食生活を改善するなど、生産性を上げていくための工夫をしてほしいです。
三浦 働き方改革って労働時間だけの問題ではないですよね。働くことや成果に対する思考そのものをアップデートする必要があると思います。
 コロナ禍では人々の生活を維持するのに不可欠な職業の人たちを指すエッセンシャルワーカーという言葉が浸透しましたが、収入が8割になると消費に対しても、本当に必要なものと、どうしても欲しいこだわりに対象を絞ってお金を出す「エッセンシャル消費」という考え方が広がっていくのではないかと思います。
 消費の対象が、「必要不可欠なもの」と「高くても熱烈な支持を得るもの」に二極化する構図です。
梶本 なるほど、それはありそうですね。
 三浦さんも今はお若いからいいけれど、体重が少し心配なので40代を迎えたらエッセンシャル消費の中に健康に関わるものを加えていくといいかもしれませんね。
 必ずしも消費である必要はなく、ジム通いでも食事日記でもなんでも大丈夫。「健康にいいことをしよう」という意欲を刺激することで、本当にプラスの効果があったりするものなんです。
三浦 そうですね、覚えておきます。
 あと僕は常にクリエイティビティを発揮していなければならない立場なのですが、最後にパフォーマンスを上げるためにアドバイスをいただけませんか。
梶本 三浦さんのように忙しい方には、重要度と緊急度によって仕事に1から10まで点数をつけてみることをお勧めします。付箋などで「タグ付け」して可視化できるとベスト。
 10から6までの仕事をやれたら、体調によっては5以下の仕事を潔くあきらめる姿勢も必要です。
 自分に100点満点を求め続けると、心身が疲弊してパフォーマンスの低下につながってしまいますから。
 ただやっぱり一番大切なのは、自分自身と向き合う機会を設けること。パフォーマンスを高める体調管理は、自らと向き合うことから始まります。

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