ペンギン、米出版シェア3割超に 同業のサイモン買収
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私が文藝春秋の翻訳の編集長をやっていたとき、ペンギンとランダムハウスは別々の会社だった。まずペンギンが買収された。当時、その理由を、ペンギンのインプリントであるポートフォリオの発行人エイドリアン・ザックハイムは、「巨大化するアマゾンに対抗するため」と言っていた。
コロナ禍で、ますますリアル書店は、復興のきざしをみせていた独立系書店も総崩れ、サイモン・アンド・シュスターの海外版権担当のボール・オハロランは、「アマゾンのトラックばかりが行き来している」と言っていた。
そのサイモン・アンド・シュスターとも合併して、米出版界はビッグ3の時代に。
こうした動きを加速させているのは、繰り返しになるがアマゾンだ。欧米では、今世紀に入り、大手を中心に出版社の合併が続いてきました。が、それでも出版だけではやっていけず、業態の異なる企業の傘下に。もともと英国最大の出版社だったペンギンは、同じく英国のピアソンという英語教育と教材の販売を主とする大会社の傘下に。米国最大の出版社だったランダムハウスは、独のベルテルスマンという放送・音楽も含めたメディア・コングロマリットの傘下に。さらに、数年前、ペンギンとランダムハウスが合併し、ともにベルテルスマンの傘下に。
今回、ベルテルスマンの傘下に入ることになったサイモンは、米国3位といってもすでにCBSの傘下に入っていたので、出版社として完全に独立していたわけではありません。残る大手といえば、ノベルスを中心とするハーパーコリンズ、フランスに本社を置くアシェットグループでしょうか。
他の出版大手としては、世界三大学術出版社というのがあり、最大手がオランダのエルゼビアで、世界の論文の多くの権利を持ち、たとえば、東大などでも、毎年億単位の料金を論文データベース使用料に使っていると聞きます。実は、世界の出版業界でその出身者が発言権を持っていたりします。残る2社はドイツのシュプリンガーと、アメリカのワイリー。
これら世界の出版グループの中で、実は、講談社と光文社の音羽グループ、小学館と集英社の一ツ橋グループも、売上の数字だけ見ると、結構いい線いっているように見えますが、実はその多くは、コミックを筆頭とする雑誌、広告・キャラクター収入で、世界の他の出版社の売上が書籍だけから計上されているのとは、実はベースが違います。書籍だけの売り上げで見ると、日本のそれは、人口が半分ぐらいのイギリスやドイツ並かそれ以下。なお、この傾向は電子書籍も同じで、日本では大半が漫画です。
本題に戻ると、生き残りのために、大手のメディアグループに入らざると得ない状況の中、日本は、大手数社を除き、零細のインディペンデント出版社の集合で、でも、それは、多様なミニメディア、という書籍の一つの役割を果たすもので、それはそれで、出版のモデルの一つになっているのではと思います。このままもてば、ではありますが。ビッグ5と言われていたのが、ペンギン・ランダムハウス、ハーパーコリンズ、サイモン&シュスター、アシェット、マクミラン。その中での買収となり。
サイモン&シュスターはバイアコムCBSの傘下でした。リリースに書かれていたのですが、コア事業ではないと判断したとのこと。
日本と出版社と欧米圏ではあり方が少し違うので、一概に日本国内でも同じように語れませんが、出版系大手の傘下に中小出版社が入る流れは少しきています。(講談社と一迅社、メディアドゥとジャイブ)
日本では大手同士の再編はまだまだかもですが、中小再編は起きるかもしれません。