2020/11/23

【実話】天才児と母がたどった「父」探し、13年の全記録

NewsPicks 編集部(シリコンバレー支局長)
あまりの緊張に、15歳の少年ライアンと母ウェンディの心臓は止まりそうだった。
ホテルのロビーに入ってきた男性を見た時、それがライアンの「父親」であることは明らかだった。
「笑った時の歯、眉毛が息子そのものだったの。息子の半分のDNAを持つ人の隣に立っていられることが信じられなかったわ」(ウェンディ)
ライアンと「父親」は歩き方や、ドアの開け方までが似ていた。
ライアンもその時のことを鮮明に覚えている。
「彼は食事の後に、肘を曲げて左右にストレッチするんだ。僕と同じくせだった。小さなことが本当に同じだったんだ」
ウェンディ・クレイマーは1989年、第三者から精子のドナー提供を受けてライアンを生んだ。ライアンには生まれた時から生物学上の「父親」がいないだけでなく、その人物が誰なのか知ることさえできなかった。
それでもウェンディとライアンは「父親」探しを続けてきた。そして13年の時を経て、二人はようやくDNAでつながる「父親」を探し当てたのだ。
ウェンディ・クレーマー(右)とライアン・クレーマー(当時14歳) (写真:Getty Images / Glenn Asakawa)

2歳で始まった「父」探し