2020/11/17

【決算レビュー】JR・私鉄大手は「赤字時代」をどう生き抜くか

湯浅 大輝
NewsPicks編集部 記者
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、人々の移動制限が本格化してから約8カ月が経つ。日本でも、交通インフラを支える鉄道業界の業績は厳しい状態が続く。
JR4社と私鉄14社、そして東京メトロの決算は、年度初めの4〜6月に、そろって赤字に転落していた。
そして、直近の7〜9月決算は、11月13日に近鉄グループホールディングスの発表で19社の決算が出そろった。
7〜9月は、19社のうち、南海電気鉄道以外が最終赤字となった。さらに、2021年3月期の最終損益は、非公表の東京メトロを除く18社が赤字となる〝歴史的な年度〟となるのは確実だ。
長年鉄道業界を取材してきた鉄道ジャーナリストの梅原淳氏の解説とともに、直近の7〜9月の決算内容や速報データから、鉄道各社のアフターコロナの道筋を分析する。
INDEX
☑️JR東、「過去最悪」の7〜9月期
☑️「思ったよりも戻らなかった」需要
☑️ダイナミックプライシングの現実味
☑️多角化でもリスク分散できず
☑️空港線はさらに厳しい

JR東、「過去最悪」の7〜9月期

まず、JR4社の最新決算を見ていこう。
売上高で日本最大の鉄道会社であるJR東日本は、7〜9月の3カ月の売上高が4544億円と、前年に比べて約42%減少した。