2020/10/15

【入門】J-REITは安いうちに買っておいた方がいいのか

花谷 美枝
NewsPicks 編集部 記者・編集者
J-REIT(日本版不動産投資信託)の投資口価格(株式の株価に相当)が安い。
J-REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は、最近は株式の動きにほぼ連動していた。だが、3月の暴落以降は、株式に比べて戻りが遅れている。
安いことには理由があるもの。だが、価格の回復が期待できるならば、J-REITも資産運用の選択肢になる。この安値の機会にJ-REITを少し、勉強してみよう。

オフィス系が市場の足を引っ張っている

なぜJ-REITが安いのかを考える前に、まず、J-REITとは何かを簡単に見てみる。
REITとは、Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)の略称。その日本版がJ-REITで、2001年9月に創設された。
「投資法人」と呼ばれる会社が投資家からお金を集めて、不動産を運用している。上場している投資法人は現在、62銘柄(9月末時点)ある。
J-REITの場合、会社の株式に当たるのが「投資口」、株価は「投資口価格」、配当金は「分配金」と呼ばれる。投資家は株式と同じように、投資法人の投資口を証券取引所で売買できる。
いわば、投資家はJ-REITの投資口を買うことを通じて、間接的に不動産に投資する形になる。

最大の特徴は分配金

運用商品としてのJ-REITの最大の特徴は、安定した分配金にある。
分配金は、運用する不動産から得た賃料収入を原資に投資家に分配される。運用物件の入れ替えなどで売却した時は、売却益も分配金の原資になる。
不動産の賃料の改定は通常、2年や3年の契約更改時に行われる。つまり、賃料収入は短期間では変動しにくいので、安定して分配金を出しやすい。
また、J-REITの投資法人は、利益の90%超を分配すると法人税が課税されない特殊な法人である点も、分配金が安定的に出される理由の一つになっている。
分配金が安定しているということは、投資口価格が安い時に買っておけば、高い利回りを確保できるということ。J-REITの価格が低迷している時に投資を検討する意味はここにある。
各銘柄の分配金利回りを見てみよう。東証一部上場企業の平均配当利回りは1.97%(9月中平均、単純平均)であることを考えると、分配金利回りの高さがよくわかるだろう。