2020/10/8

【実録20年】先端テクノロジーをめぐる「泥臭い」物語

冨岡 久美子
NewsPicks 記者
RFIDは、自動認識技術の一つ。
だが現場には、自動認識という最先端テクノロジーからは程遠い、アナログで泥臭い問題が多く存在する。
その最たる例がタグを貼る作業だ。
「貼っても貼っても終わらない」と言ってバイトをやめた人もいるという。視察者が多く訪れる店舗では張り切りすぎて、運営がもたなかった店舗もあるほどだ。
ただ多くの人の汗と涙によって、着実に市場は拡大している。2029年にはグローバルで現在の3倍以上、3600億円との予想だ。ブレイクスルーといわれる単価「1円」も見えてきた。
RFIDを日本で普及促進し始めて、20年あまり。大日本印刷でRFID事業を主導する中野茂部長に悪戦苦闘の20年について話を聞いた。
中野茂(なかの・しげる)/1989年、大日本印刷 PAC(包装企画センター)入社。1999年からRFID事業に従事。2017年度から経済産業省・NEDOのRFID実証実験のプライマリーを2年連続で受託。日本自動認識システム協会(JAISA)RFID部会マーケティンググループ副グループ長。ISO/TC46:国内委員会委員。現在、情報イノベーション事業部PFサービスセンターIoSTプラットフォーム本部デジタルサプライチェーン事業開発部部長

平面ならば、印刷できる

──中野さんは、いつからRFIDに関わっているのでしょうか。
1999年です。大日本印刷がRFIDを始めた時から関わっている、オリジナルメンバーです。
RFIDを普及させようとしているキーマンが、日本のRFID関連機器を扱う企業や団体にはそれぞれいて、主要メンバーは、会社を変わったりしながらも、ずっと変わらずにいます。
中でも僕は、生き字引みたいになっています。