2020/10/31

【ワークマン 土屋】宣伝しなくても自然に売れる方法

ライター&編集者
コロナ禍でますます苦境にあえぐアパレル各社を尻目に、成長を続ける作業服最大手のワークマン。2020年3月期の売上高は前期比37.8%増の923億円、営業利益は同41.7%増の192億円と大幅増収増益で、10期連続で最高益を更新。既存店売上高も35カ月連続で前年超え、第1四半期(4~6月)も2ケタ増収増益になった。

「低価格」と「プロ仕様の高機能」を武器に快進撃を続け、日本国内に限れば店舗数ではユニクロを抜く。大躍進のきっかけとなった、一般客向けに「編集」したアウトドアウエアの新業態「ワークマンプラス」の仕掛け人こそ、ワークマンの土屋哲雄専務だ。

土屋氏は創業家の出身で、東大卒。三井物産で30年以上、商社マンとして活躍した後、2012年ワークマンに入社した。「エクセル」をフル活用する「データ経営」と「しない経営」で社内改革を推進、現在の新生ワークマンへと導いた。残業しない、期限は設定しない、ノルマは課さない……。ワークマンのガツガツしない“非常識”な経営、土屋氏の哲学を明らかにする。(全7回)

意外な人が意外な使い方

ワークマンは作業服の店なので、一般客をターゲットとは考えていませんでした。それでもPB製品に力を入れ始めたとき、異常値が検知されました。なぜかよく売れる製品があるのです。
誰がどんな理由で購入しているのかを調べると、意外な人が意外な使い方をしていることが分かりました。
土屋哲雄(つちや・てつお)/ワークマン 専務取締役、開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当

1952年生まれ。東京大学経済学部卒業。75年、三井物産に入社。海外留学を経て、88年、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役執行役員など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに常勤顧問として入社。常務を経て、19年6月から現職。初の著書『ワークマン式「しない経営」』(ダイヤモンド社)を20年10月21日に発売した。