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米電気自動車(EV)メーカー、テスラの「バッテリーデー」は前評判が高かったが、時価総額が今年3200億ドル(約33兆7000億円)膨らむ原動力となった市場の期待には応えられなかった。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が描いた壮大な目標は実現に時間がかかる見通しだ。

マスク氏は22日、3年以内に2万5000ドルのEVを製造し、電池のコストを半減させる計画の概要を明らかにした。技術や製造の革新に関する説明は印象的だったが、テスラの突発力は既に時価総額に反映されており、期待の高かった今回のイベントでサプライズがなかったことに投資家は失望しているのではないかと、アナリストは語った。

テスラが260万円台EV製造、約3年以内に-完全な自律走行性能も

これは23日の株価動向についても言えそうだ。同社の株価は一時11%安となった。終値は10%安の380.36ドル。株価は今年約360%上昇している。

ロバート・W・ベアードのベン・カロ氏は「バッテリーデーが終わり、これから材料がないと考えられる。不況を踏まえるとわれわれは需要について慎重だ」と、テスラを弱気の「採れたて銘柄」と評する23日付リポートで指摘した。

UBSのアナリスト、パトリック・フンメル氏も同様の見解を示した。投資判断を「中立」とする同氏は調査リポートで、電池技術と費用におけるテスラの指導的地位は株価に全て織り込まれていると説明。「バッテリーデーへの高い期待を考えると、革新の比較的長いスケジュールと詳細な情報不足を市場はまず嫌気するだろう」との見方を示した。

原題:Tesla Slumps as Battery Day Letdown Clouds $320 Billion Gain (3)(抜粋)

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