[ワシントン 27日 ロイター] - 米労働省が27日に発表した22日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は100万6000件と、前週の110万4000件から減少した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は100万件だった。

申請件数が100万件近辺にとどまっていることで、新型コロナウイルス感染拡大が収束しない中、米労働市場の回復が足踏み状態にあることが示された。

新型コロナの感染件数は、夏期に広範囲で再び増加した後、落ち着いてきた。それでも対面形式の授業を再開した大学など、感染者の多発地域はまだ多く残る。政府の景気刺激策が縮小される中、景気回復が鈍化している兆しが増えている。第3・四半期に大幅な成長を見込んでいた一部のエコノミストは予想を下方改定している。

失業保険申請件数は、新型コロナ感染抑制策が始まった3月に過去最多の686万7000件に達した。5月に経済活動を再開して以降申請件数は減り、今月初めには新型コロナ危機が米国で始まって以来初めて100万件を下回った。

失業保険手当の上乗せ措置が7月に失効したほか、賃金支払いを支援する政府の企業向け融資も終わりに近づいている。こうした中、労働市場の回復は鈍化してきた。エコノミストは政府の支援制度を受けて、過去数カ月間にわたり雇用が大幅に持ち直していたと指摘する。

15日までの週の失業保険受給総数は前週比22万3000件減の145万3500件だった。今回の失業保険受給者総数の統計は、8月の雇用統計と調査期間が重なっており、失業率に反映される。受給者総数の4週間移動平均は7月から8月までの間に減少。受給者が減った主な要因は、手当てを受ける資格を失った人が増えたためとみられる。8日までの週には最低2700万人が何らかの保障制度で失業保険手当てを受けていた。

MUFG(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「経済はまだ困難を脱していない」とした上で、「飲食店や小売店、モールなど数千店が閉鎖や倒産に追い込まれる中、政府支援がない場合、失業者に雇用機会を生み出すのに何年もかかる」と述べた。

エコノミストらは、週600ドルの特別失業給付が7月末に失効したことで、8月の小売売上高は500億ドル目減りした可能性があると試算。経済政策研究所(ワシントン)の政策担当ディレクター、ハイディ・シアホルツ氏は「週600ドルの特例給付で可能となった支出が510万人の雇用を支えていた」と指摘した。

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