[イスタンブール 20日 ロイター] - トルコ中央銀行は20日の政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポレート<TRINT=ECI>を8.25%に据え置くことを決定した。据え置きは予想通り。通貨リラの下落が続いているが、中銀は利上げではなく一段の補完的な手段で対応していくとみられる。

中銀は1週間物レポレートを24%の高水準から1年近くかけて大幅に引き下げた後、6月以降は8.25%に維持。ただ、アナリストは、外国為替市場への介入にかかるコストなどを踏まえると、利上げは時間の問題との見方を示している。

中銀は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などに伴い、インフレに対する上向き圧力は次第に軽減すると予想。ただ「為替相場と信用動向により、需要側からのディスインフレ効果は制限される」との認識を示し、「流動性措置」を継続すると表明した。

トルコのインフレ率は11.76%。政策金利はこれを大幅に下回っている。ただエコノミストは、中銀が当面補完的な手段で対応するとの見方を示しており、ロイターが実施した調査ではエコノミスト17人のうち利上げを予想したのは5人にとどまった

金利据え置きを受け、通貨リラ<TRYTOM=D3>は0.9%安の1ドル=7.347リラ。7月下旬に大きく売り込まれるまでの2カ月間は6.85リラ近辺で推移していた。年初からの下落率は19%。

スコープ・レーティングスの公的財政担当ディレクター、デニス・シェン氏は「『裏口的な』利上げでは、信頼できる金融政策が施行されていると市場を納得させることはできない」とし、「恒常的で信頼の置ける利上げが実施されない限り、リラ相場に対する圧力は解消しない」と述べた。

中銀は18日、通貨リラがオーバーナイトの取引で対ドルで最安値を付けたことを受け、事実上の金融引き締め策を導入。中銀は流動性措置や銀行への融資金利引き上げ指示など「裏口的」な引き締め措置を取り続けており、こうした措置で平均資金調達コスト<CBTWACF=>は9.37%まで上がった。7月16日時点では7.34%だった。

リラ相場は19日、エルドアン大統領がエネルギーに関するニュースを発表すると述べたことを受け、一時約2%上昇した。