2020/8/16

【亀山×北川拓也】仕事もスポーツも「身体で覚える」人は強い

DMM.com 取り仕切り役 会長
理論物理学者・データサイエンティストで、楽天常務執行役員を務める北川拓也氏をゲストに迎えた「亀っちの部屋」Season2。
前回は、北川氏が「すごい人と普通の人との差」を生み出すと考える人間の知覚について、脳科学の観点から持論が展開された。
その知覚を鍛える方法として、北川氏は「身体で覚えるトレーニング」が有効だと語る。その一例に「武士道」まで飛び出す、古今東西の知見を横断したトークとなった。
*音声はこちらからお聞きください

どうしたら知覚を鍛えられるか

──前回は、人間の「知覚」こそが重要で、少しの違いが積み重なると結果に大きな差が生まれるという話を伺いました。
北川 「行動に与える影響は、思考よりも知覚のほうが大きい」というのが僕の考えです。では、どうしたら知覚を鍛えられるのか。
前回、現在の教育は思考に重点を置いていると言いましたが、数少ない例外として、スポーツや公文式のように繰り返すことで身体に覚えさせるトレーニングは、知覚を鍛えるのに向いています。
そして僕はビジネスの世界に入って、仕事のトレーニングもこれに近いものがあると思ったんです。
人間の行動に影響をもたらすのは、「何を考えるか」よりも「何を知覚するか」(前回記事より転載)
亀山 会社に入ってみて、北川くんの脳も影響を受けてるということ?
北川 はい。毎日、人に揉まれていますし、僕自身もなるべく他者からフィードバックが得られるように意識して行動しているので、ビジネスで知覚が鍛えられていると感じます。
意識的に理屈ではなく、感情レベルで違う感じ方になるように、自分自身にフィードバックするようにしています。
北川 拓也(きたがわ・たくや)/楽天 常務執行役員
ところで亀山さん、イーロン・マスクが最近、「ニューラリンク」という新しい会社を作ったのをご存じですか?
亀山 へえ、知らない。
北川 この新会社は、体の外のコンピューターと脳をつなげる「BMI(ブレイン・マシーン・インターフェイス)」を目指しています。たとえば、手を動かさなくても脳が指示を出せば物を動かすことができるような世界です。
亀山 まるで電脳化の世界だね。
でも、すでに今みんなスマホを持っていて、脳と脳がリンクしてるみたいなもんじゃない。俺が知らないこともGoogle先生が教えてくれるし、離れていても即時にメッセージを送れるのは、ほとんどテレパシーだし。
イーロンたちの研究がもっと進むと、俺がボケても代わりに北川くんがしゃべってくれるみたいになるのかな。
写真:AP/アフロ
北川 ええ、あり得ると思います。
亀山 じゃあ、人類が一つの生命体みたいになっちゃうの?
北川 さすがにこれは極端な例ですが(笑)、今後5年から10年のあいだに、知覚そのものを鍛える教育やテクノロジーが劇的に伸びると考えています。
亀山 そもそも、「知覚を鍛える」って何なんだろうね。