2020/7/30

【実録】絶望の街NYで、コロナに打ち勝ったラーメン屋

NewsPicks NY支局長
悲壮になんか暮れていられないーー。
今や、コロナウイルスの感染源として知られるようになってしまった米ニューヨーク。
現在は、経済再開も進み、コロナ収束に成功したモデルとしても注目を集めるようになったが、他州での感染者数が増え続けていることもあり、レストランやバーの店内飲食は禁止されたまま。
屋外ダイニングはNYのニューノーマルだ(写真: Alexi Rosenfeld/Getty Images)
何十年にもわたって人気を誇ってきたレストランが、閉店を余儀なくされるケースも続出している。
だが、そんな「飲食の地獄」ともいえるNYで、コロナ後を見事に捉えた新たなビジネスモデルを打ち出し、新たな光明をつかんだラーメン屋がある。
Ramen Ishida(麺処いし田)。
彼らが6月に始めた「Ramen@Home(ラーメン・アットホーム)」は4食で75ドル(約8300円)という価格にもかかわらず、現地メディアでも盛んに取り上げられる人気を博し、コロナ前に匹敵する売り上げをもたらした。
このラーメンの何が、米国人たちの渇望を捉えたのかーー。NewsPicksは、店主の石田洋平氏に直撃した。

僕はラーメン職人じゃない

──まず、ニューヨークでラーメン店を開業したきっかけから教えてください。
アメリカに来たのは18年前で、19歳のときでした。ニューヨークの大学に入学して、金融と会計を専攻していました。
USCPA(米国公認会計士)の資格を取るためだったのですが、卒業のタイミングが就職難と重なってしまった上に、家庭も持ったので、まずはなんとか食っていかないといけないとなったときに、ちょうど米国に進出した一風堂を紹介してもらって、ラーメン業界に入ることになったんです。