長期投資はAIごときに負けない 朝倉祐介×奥野一成「教養としての投資」対談
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注目のコメント
ご著書の中で「圧倒的な競争優位性」を投資条件の一つとして挙げてらっしゃるNVICの奥野さんですが、レイターステージ/Post-IPOのスタートアップに関わる身としては、フェイズ的にまだ、関与先に確たる参入障壁が存在しない以上、いかにして共に参入障壁を築くかが重大なテーマです。
この点、良い企業はバリューチェーンの上流・下流の両端に参入障壁があるというご指摘は興味深いですね。
供給面での参入障壁の構築というのは、ある意味、性格悪い話ですね。
せっかくの機会なので、ESG投資やAI投資についてどう見てらっしゃるのかについても伺いましたが、竹を割ったような明快なご回答をいただきました。
「ポジションを取る」というのはこういうことだと思いますし、こうした点に投資スタンスが表れるのでしょう。
近年はグロースに注目が集まる期間が続いていますが、こうした環境下で長期バリュー投資がどのような存在感を示し続けるのか、気になる点です。
奥野さんのご著書、『教養としての投資』も非常におすすめです。
https://amzn.to/3h3geED見出しの一種煽った部分よりも、中身の障壁の議論を是非読んでいただきたい記事。
本記事で個人的に気になった部分は、コロナ禍を経てNVIC奥野さんのなかで「投資における経営者の重要性は変わったか?」という点。
本記事でも出ていて、①・②などでもコメントしたが、NVICは「構造的に強靭な企業」しか投資対象としていない。投資哲学や投資手法には「経営者」といった言葉は全くない。
みさき時代に話をさせて頂いたり、中神さんとの対談が出ているガバナンス本(③)で印象に残っているのが、「構造的に強靭な企業」≒「誰が経営しても機能するビジネス、なぜなら経営者はかわる(byバフェット)」と捉えられている点。この対談はとても面白く、ものすごく冷静・ロジカルに現実を見つめており、その力で「構造的に強靭」かの判断をされている様子が窺える。
一方、本記事では特に2ページ目で『4、5月の戻り局面で急落前の株価水準まで戻れなかった企業はダメかも知れません。(中略)両者を分けているのは、事業の経済性(付加価値、競争優位、長期潮流)であることは言うまでもありませんが、それに加えて経営姿勢にアニマルスピリットがあるかどうかだということを今回は痛感しましたね。』など、急変する環境での経営者の姿勢への言及が多い。
これまでとは個人的には変化があるように思え、とても気になった!
①https://newspicks.com/news/4007120
②https://newspicks.com/news/3737396
③https://amzn.to/30f0tUl奥野さんの肩をもつわけでもないですが、コルゲートの例えがあまり理解されていないようなのでコメントさせていただきます。
大前提として、日用品セクターでは最初にシェアを取ったプレイヤーが圧倒的に優位になります。それは、生産能力がビジネスの勝敗を分けるファクターとして重要だからであり、コルゲートがなぜ日本で勝てない(というより、そもそも勝負していない)のかというのも、ライオンという先行者がいたからという単純な理由に尽きると思っていて、逆に言うと日本以外の市場では最初に市場を開拓したのでことごとく圧倒的に優位なポジションにある、ということが言いたいものと推察します。
製造業では、一般的には技術・開発力が競争優位になるケースが多いと思われがちですが、実は「製造力(と私は呼んでいます)」が重要になるケースは意外と多く、日用品のように最初に生産能力を持つことが強みになることもあれば、製造工程が長かったり(多額の投資が必要)、複雑であったり(生産性を高めにくい)、難易度が高かったり(歩留まりを上げるノウハウが必要)することによって、それが参入障壁となっていることもあり、これが奥野さんの言う「供給側の参入障壁」ということと理解しています。
追記
念のためですが、投資先を決めるのは参入障壁の有無だけではありませんので、コルゲートが長期投資先としてふさわしいかどうかは全く別の問題であり、その点では奥野さんとは考えは異なるかもしれません。
また、日用品は本来、ディフェンシブセクターであることも考えると、株価パフォーマンスを評価するなら景気後退局面を含む期間で見た方が適切だろう(真価が発揮される)とは思います。